帰国子女が不登校になってしまうのはどうして?原因や対策方法を知ろう
帰国子女が日本に帰国してから不登校になってしまうケースが多くあるようです。どのような理由で不登校になってしまうのでしょうか。
不登校の原因と解決方法を、詳しくご紹介します。さらに、気軽に相談できる専門機関や公的機関の情報もお伝えします。
帰国子女が不登校になる主な理由は4つ
帰国子女が帰国後、不登校になってしまうことにはさまざまな理由があります。ここでは、不登校の主な理由を4つご説明します。
◆友だち関係
1つ目は、友だち関係です。帰国子女は日本の友人たちと話す際に、海外で過ごしていた時の感覚で、フレンドリーになりすぎてしまうことが多いようです。しかし急に、ずっと昔から仲が良かったかのように振る舞われることで、日本で暮らしてきた友人は、少し困惑してしまいます。
一方、帰国子女は、日本の友だちから思っていたような反応が返ってこず、戸惑ってしまう。こういった、友人との関わり方の違いに悩んでしまう傾向があります。
また、服装の違いも友だち関係に影響してきます。海外で普通に着ていた服であっても、日本では個性的だと捉えられることがあります。
このような温度差から知らず知らずのうちに友だちの間で浮いてしまい、疎外感を感じることが多いようです。
さらに、友だちとの会話についていけないことも、帰国子女のストレスになります。海外で過ごしていた時期に、日本で流行した音楽や、ドラマ、お笑いなどエンターテイメントの話題に、ついていけないこともありますよね。
こうしたことで、会話が弾まなかったり、会話が嚙み合わないことが重なると、孤独感を感じてしまうことも。
このように友だち関係において、 ①友だちとの距離感 ②服装の違い ③会話についていけないなどの、友人とのちょっとしたすれ違いが、ストレスとなり、それが積み重なって不登校につながってしまうのです。
◆学校の勉強
2つ目は、学校の勉強です。学校の勉強の中でも、特に帰国子女の悩みの種となっているのは、①勉強のレベルについていけないこと、 ②授業の形式の違いです。
勉強のレベルに関しては、海外赴任先と日本の学校の学習内容や進度の違いに戸惑うことが多いようです。しかし、帰国子女の皆さんの学力が低いというわけではありません。
例えば、国語に関していえば、海外赴任先で英語で英語の文学を勉強することと、帰国後に日本語で日本語の文学を勉強することはまったく異なる学習です。学習方法が異なるので、理解の仕方も変わってきます。
また、海外と日本の学校の授業形式の違いにも苦労することがあるようです。例えば、海外のインターナショナルスクールでは、自分で調べる・自分で意見を述べる・自分で発表するというような主体性を求められる授業が多くあります。
一方、日本の学校では、きちんと先生の授業を聞くことや、先生が教えたことをきちんと習得、記憶しているかを重視する傾向にあります。
海外赴任先と日本の学校の学習内容や授業形式などが違うことで、「自分はこんなにも勉強ができなかったのか」と、自分に落胆してしまうこともあるようです。
そこから自分への自信を失くしてしまい、もう学校に行きたくないと不登校になってしまうことも少なくありません。
また、そのことから成績が下がり、親に怒られて、さらに辛い思いをして、心の傷が深くなっている子どもも多くいるようです。
◆親や周囲からの期待
3つ目は、「親や周囲からの大きな期待」です。子どもは口に出すことは少ないかもしれませんが、親のことが大好きです。
大好きだからこそ、親の期待に応えたいという気持ちや、一生懸命に頑張ることで親を喜ばせたいという気持ちを強く持っています。
子どもは、親が理想とする「よい子」でありたいと思っているのです。しかし、このような思いを強く持ちすぎるあまり、思い通りの結果を得られないことや、期待に応えられないこと、上手くいかない自分に対していらだちを感じる子どもが多くいます。
自分のことが嫌いになり、「頑張れない自分はダメなんだ」と自らをを責めてしまうのです。また、親だけでなく、周囲からの「帰国子女は優秀である」という固定観念やプレッシャーも重荷となります。結果として、不登校に陥ってしまうケースもあるのです。
◆生活環境の変化
4つ目は、海外赴任先と日本の生活環境の違いです。日本は、世界でもめずらしく四季がはっきりとしている国です。
ジメジメとした梅雨や蒸し暑い夏、空気が乾燥する寒い冬、朝晩の寒暖差など、海外とはまったく違う環境です。
慣れない環境で過ごすことは、知らず知らずのうちに体に大きな負担を与えています。体調不良や体力の低下が、勉強や自分のやりたいことができないもどかしさ、メンタルの不調を生み出しているのです。
また、通学時の朝のラッシュや満員電車での通学など、海外では経験してこなかった日常生活の変化もストレスとなり、不登校の原因と考えられています。
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◆信頼できる人に相談しよう
まずは、親や先生、友だちなどあなたが信頼している人に悩みを打ち明けましょう。一人で悩みを抱えていることや、一人で解決しようとすることは、とても苦しいものです。
誰かに話を聞いてもらうことで、気持ちが軽くなります。また、自分の思いを言葉にすることで頭の中が整理され、自分がどんなことにストレスを感じているのか、どうして学校に行きたくないのか、などの悩みの原因や本当の気持ちに気付くことができるでしょう。
ぜひ、一度信頼できる人に相談してみましょう。
◆自分の居場所を見つけよう
「学校には行きたくない」や「学校に自分の居場所がない」と感じるのであれば、無理をする必要はありません。学校以外でやってみたいことや学んでみたいことを見つけてみましょう。
例えば、ボランティアや習い事、塾、フリースクールに行ってみることをおすすめします。今、目の前にあることや興味のあることを少しずつ始めてみてください。
自分に自信を持つことができる場所、居心地がよい安心できる場所があるはずです。
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子どもが不登校になってしまった時、親はとても心配ですよね。ここでは、親ができる子どもの不登校の対策や解決方法を4つご紹介します。
◆子どもの一番の理解者になる
1つ目は、お子さんの置かれている状況を理解することです。実はこれが一番大切です。
子どもの頃に生活環境が大きく変わることは、とてもストレスを感じやすいことです。
不登校になってしまったお子さんは、頑張りたくないのではなく、頑張れないほど大変な状況にいるのです。
日々、さまざまなことと葛藤しており、どうすればいいのか分からない状態なのかもしれません。
お子さんの置かれている状況をぜひ理解してあげてほしいと思います。次に、子どもの置かれている状況を理解するために大切なことをご紹介します。
◆子どもとコミュニケーションを取ろう
子どものことを理解するためには、常日頃から積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。親も帰国してから手続きや環境の変化で、バタバタと忙しい日々が続いているかもしれませんね。
お子さんと同様に大変だとは思いますが、子どもがどんなことに悩んでいるのか、どうして学校に行きたくないのかなど、一度ゆっくりと話す時間を作ってみて下さい。
毎日少しずつ話をする時間を作ることで、子どもがどんなことを考えているのかを知ることができるはずです。
子どもの本当の気持ちを知って、今後のことをゆっくりと話し合ってくださいね。
◆子どもからのSOSに気付こう
子どもはメンタルが崩れている時やストレスを抱えている時に、2つのSOSのサインを出していることがあります。
1つ目のサインは、日常会話で過去に住んでいた海外の話を頻繁にすることです。帰国してから半年から1年以上経っても海外生活の話をすることが多い場合は、黄色信号です。
今の環境に不満や不安、ストレスを抱えているサインかもしれません。原因を一緒に探って解決する必要があります。
2つ目のサインは、帰国子女であることを隠そうとすることです。「帰国子女であることを知られたくない」のような消極的な発言は、赤信号です。学校の授業についていけないことや友人関係に悩んでいること、自分がどうしたらいいのか分からないなど、とても悩んでいるケースがほとんどと言われています。
学校や専門機関に相談し、原因解明や解決する道を探しましょう。
【SOSのサイン】
・黄色信号:過去の話を頻繁にする
・赤信号:消極的な発言・帰国生であることを隠そうとする
◆無理に学校へ行かせないようにしよう
子どもが学校に行きたくないと言う場合は、無理に学校に行かせる必要はないでしょう。無理に学校に行かせると学校が嫌いになることや、学校に行くことがトラウマになることも考えられます。親としては「1回休むと休む癖がついてしまうのでは?」と不安や心配になるかと思います。
しかし、子どもの気持ちや子どもの登校ペースを尊重して、まずは、子どもの心の健康に目を向けてあげましょう。
親子で公的機関・専門機関に相談しよう
子どもが不登校になった場合、親子で公的機関や専門機関に相談することは大切です。家族以外にも信頼できる相談相手がいれば、心強いですね。
ここでは、不登校に関して相談できる公的機関と専門機関をそれぞれ4つご紹介します。
◆公的機関をご紹介
①文部科学省:24時間子供SOSダイヤル
・WEBサイト
・電話番号:0120 0 78310
「24時間子供SOSダイヤル」は、文部科学省が行っている相談窓口です。子どもたちが全国どこからでも、いつでも相談することができます。
電話をすれば、電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。
夜間と休日を含めて24時間相談を受け付けています。
②法務省:子どもの人権110番
・WEBサイト
・電話番号:0120 007 110
子どもの人権110番は、法務省が実施している相談窓口です。
いじめや不登校、虐待などの相談を受け付けています。
子どもだけでなく大人も利用できます。
電話をすれば、最寄りの法務局や、地方法務局相談所につながり、法務局職員または人権擁護委員が担当します。
受付時間は、月曜日から金曜日の8時30分〜17時15分です。
③警視庁:ヤング・テレホン・コーナー
・WEBサイト
・電話:03 3580 4970
ヤング・テレホン・コーナーは、警視庁少年相談係が実施している相談窓口です。
20歳未満の皆さんからのいじめや友だち関係、不登校などの相談を受け付けています。子どもだけでなく、子どもの家族や学校関係者の方々も利用できます。
相談受付時間は、24時間です。月曜日〜金曜日までの8時30分〜17時15分は、心理職または警察官が担当。
夜間と土曜日、日曜日、休日などは宿直の警察官が担当します。
④スクールカウンセラー
文部科学省は、平成7年度から「心の専門家」として臨床心理士などのスクールカウンセラーを全国の学校に配置する取り組みを行っています。
学校にカウンセリングルームや相談室を設けている学校が数多くあります。
スクールカウンセラーや臨床心理士に相談したい場合は、学校に連絡してみて下さい。
◆専門機関をご紹介
①海外子女教育振興財団
・WEBサイト
海外子女教育振興財団は、海外赴任者や帰国子女、海外子女のために教育相談や情報提供などのサポートを行っている公益財団法人です。
専門の教育相談員がおり、一人ひとりの現状に適したアドバイスを提供しています。
②フレンズ帰国生母の会
・WEBサイト
フレンズ帰国生母の会は、1983年10月に設立した海外在住経験を持つ母親たちによるボランティア団体です。
海外在住経験のあるお母さんたちがたくさん在籍しています。それぞれの経験に基づいた海外赴任地での生活や受験、帰国後の学校選びなどさまざまな相談に乗ってくれる専門機関です。
③不登校支援センター
・WEBサイト
不登校支援センターは、不登校を解決するための不登校専門機関です。
札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・福岡の全国7カ所に支部があります。
カウンセリングや学業支援などのさまざまな活動を通じて、不登校の子どものサポートを行っています。
オンラインでのカウンセリングも実施しています。
④NPO法人 日本フリースクール協会
・WEBサイト
NPO法人日本フリースクール協会は、1998年5月に発足した教育機関です。
不登校や引きこもりなどの子どもに、学校教育とは異なる学びの場や居場所作りを目指して活動しています。
定期的に不登校など問題を抱えている親子の相談会や、セミナーを実施しています。
上記でご紹介した専門機関や公的機関以外にも、心療内科や児童精神科などの医療機関を受診することも方法の一つです。
医療機関の場合は、カウンセリングだけではなく、投薬治療も行われるケースが考えられます。抑うつ状態や攻撃性が強いことのような症状がある場合は、医療機関の受診を検討しても良いでしょう。
帰国子女であることは素晴らしく誇らしいこと
帰国子女が不登校になる原因や解決方法をご紹介しました。どんなことでも悩んでいることがあれば、一人で抱え込まず、誰かに相談しましょう。周りの人たちを頼って下さい。
また、海外経験があることは、これから先あなたの強みになるはずです。周りの人と違うことを恐れず、自分に自信を持って、日本だけでなく広い世界で羽ばたいてくださいね。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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