【10月セミナー開催レポート】帰国生入試 合格のための併願スケジューリングと出願戦略〜親子で整える受験直前期の過ごし方〜

帰国生入試は、10月から2月にかけて試験のピークが何度も訪れます。国内の一般入試と同じ感覚で併願校を並べてしまうと、本命校を迎える前に親子ともにスタミナ切れを起こしかねません。せっかく積み重ねてきた準備も、書類の不備や移動の疲れで力を出し切れなければ、合格には結びつかないのです。
本記事では、名門会オンラインのセミナーをもとに、「勝てる併願スケジュールの組み方」と「直前期のお子様への寄り添い方」を解説。海外生特有の落とし穴を避け、親子で受験直前期を乗り切るための戦略をお伝えします。
登壇者プロフィール
| 株式会社名門会 名門会オンライン 教務責任者 遠藤将太郎 「名門会オンライン」を最前線で牽引する教務責任者。国内外の受験生が第一志望校合格を目指すための戦略立案および実行支援を行う合格請負人。 帰国生入試の併願スケジューリングや出願戦略、直前期の学習計画の管理まで、ご家庭ごとの状況に合わせた実践的なサポートに定評があります。 |
国内入試との最大の違いは「実務的な負担」〜10月以降は3つの壁と戦う〜

国内の一般入試と海外からの帰国生入試、最も大きな違いは何でしょうか。勉強の追い込みはもちろんですが、実は一番の違いは、保護者とお子様に押し寄せる実務的な負担の大きさです。
| ▪長時間のフライトを伴う移動と時差ボケの解消 ▪現地校でのハードな課題・テストとの両立 ▪複雑な出願書類の郵送や原本の手配 |
国内の一般入試であれば勉強だけにある程度集中できる環境がある一方、海外からの受験では、10月以降この3つの壁と戦いながら過去問を解いていかなければなりません。だからこそ、今このタイミングで「何があっても崩れない戦略」を立てておくことが不可欠です。
第1部|勝てる併願スケジュールの組み方〜10月から2月の入試日程を整理する〜
◆帰国生入試は4か月間にピークが何度も訪れる

国内の中学受験や高校受験は、例えば都内であれば2月1日というたった1日、あるいはその前後の数日間にピークを合わせて山を作っていきます。
しかし、帰国生入試は全く異なります。約4か月という長い期間にわたって、試験のピークが断続的に何回も訪れるのが最大の特徴です。この4か月間は、大きく3つのゾーンに分けられます。

| ▪第1ゾーン(10〜11月): 一部の中高一貫校で入試がスタート。1月まで入試が続くお子様は、この期間に合格を押さえたい ▪第2ゾーン(12〜1月): 帰国生入試最大のピーク。海外現地での試験や一時帰国しての受験が多く設定され、過密日程になることも ▪第3ゾーン(2月前半): 一般入試と並走する形での最終決戦 |
高校入試も一般入試より早いスケジュールで試験が設定され、おおよそ中学入試と似た形で日程が設けられています。
例えば、首都圏に帰国予定の女子生徒が、11月に山脇学園、12月に広尾学園、1月に渋谷教育学園渋谷、2月1日に一般入試というスケジュールを組んだとします。一見するとバランスの良い併願に見えますが、ここに海外現地との往復フライト、時差ボケ、宿泊先の手配、現地校の宿題が毎回乗ってきます。
単に4回試験を受けるのではなく、4回の国際移動と環境変化を乗り越えながら毎回ベストパフォーマンスを出す、大人の出張でも音を上げるような過酷なミッションにお子様が挑むことになるのです。
◆最も多い失敗は本命校の前の「スタミナ切れ」

日々の相談のなかで最も多い失敗は、目の前の10月・11月の試験に追われているうちに、12月や1月の本命校を迎える前に親子ともども体力・メンタルのスタミナ切れを起こしてしまうケースです。
併願スケジュールとは、通いたい学校・受けたい学校を並べた「希望のリスト」ではありません。お子様の集中力とメンタルが最後の最後まで持つように綿密に計算された「ロードマップ」でなければ、入試を勝ち抜くことはできません。
◆出願戦略は「挑戦校・実力相応校・安全校」の3層で組む

出願戦略は、次の3層のピラミッドで整理することをおすすめします。
| ▪挑戦校(1〜2校): お子様の目標であり、モチベーションの原動力を生む学校。難関校を目指す場合は第一志望校もここに含まれる ▪実力相応校(2〜3校): 過去問の相性が良く、しっかり対策をすれば高確率で合格が見込める学校 ▪安全校: どのようなコンディションでも、ほぼ確実に合格を押さえられる学校 |
例えば、挑戦校が渋谷教育学園幕張や渋谷教育学園渋谷であれば、実力相応校には広尾学園や三田国際科学学園などのなかから、科目や問題の相性が良い学校を過去問を解いて選んでいきます。そして安全校には、10月や11月の早い段階で合格をもらえそうな、帰国生枠のある一貫校を組み込みます。
学校の組み合わせはご家庭ごとに異なりますが、このように土台を先に確定させることが、その後安心して頂上に登っていくための絶対条件です。
◆勝負の分かれ目は10〜11月に「1つ目の合格」を作れるか

セミナーで「最もメモしてほしい」と強調されたのが、この点です。帰国生入試における勝負の分かれ目は、10月や11月の早い段階で1つ目の合格を作れるかどうかにあります。
12月や1月に本命校がある場合、その前に「通いたいと思える学校」の合格通知が手元にある状態を想像してみてください。「どこにも行く学校がないかもしれない」という恐怖のなかで受ける試験と、「すでに1校合格している」という余裕を持って受ける試験とでは、お子様の当日の頭の冴え方が全く違ってきます。
早い段階で確実に足場を固める日程になっているか、必ず確認してください。
◆落とし穴①:書類提出・原本郵送のタイムラグ

ここからは、国内生と同じ感覚でいると足元をすくわれる、海外生特有の3つの落とし穴です。1つ目は、書類提出や原本郵送のタイムラグです。海外からの国際郵便には税関での留め置きなどで遅れるリスクが常にあります。
さらに注意したいのが現地校での証明書発行です。「来週までに」と頼んでも、ハロウィンやサンクスギビングの休暇でオフィスが閉まっていたり、そもそも発行に3週間かかったりすることは珍しくありません。

このトラブルを防ぐルールは明確です。締め切りの数日前ではなく、締め切りの2週間前にはすべての書類の原本が手元にそろっている状態から逆算して手配を進めてください。
保護者の在勤証明書や現地校の校長のサインが必要な書類など、第三者が関わる書類は、10月初旬の今すぐリクエストを出しておくのが鉄則です。書類の不備で受験そのものができなくなる事態だけは、絶対に避けなければなりません。
◆落とし穴②:移動と時差によるパフォーマンスの低下

一時帰国して受験する場合、フライトの疲れや時差ボケが残ったまま本番を迎えてしまうお子様が後を絶ちません。欧米圏からであれば時差ボケの解消に最低でも3〜5日はかかりますし、アジア圏からでも気候差で体調を崩すお子様は非常に多いです。帰国直後に試験を入れてしまうとケアレスミスが激増し、本来の力を到底出せなくなってしまいます。

併願スケジュールを組む際は、試験前日に日本に着くようなギリギリの日程は避け、帰国後最低でも3日間は日本の時間と気候に慣れ、過去問の最終確認をするリカバリー期間をカレンダーに組み込んでください。この「余白の3日間」を用意できるかどうかが、当日の合否を大きく分けます。
◆落とし穴③:直前の急な予定変更

3つ目は、直前の急な予定変更です。12月になっても過去問の点数が合格点に届かず、焦った結果、出願予定のなかった学校に急遽差し替えたり、安全校を何校も脈絡なく追加したりするケースです。直前で受ける学校を変えると、対策すべき過去問の傾向がぶれ、一番混乱するのはお子様自身です。結果として全滅のリスクを高めてしまいます。
過去問の点数が取れないときは、受験校をやみくもに変えないこと。そして、どの単元で落としているのかを冷静に分析し、その単元をピンポイントで補強することです。点が取れない原因の多くは学力不足ではなく、時間配分のミスや設問形式に慣れていないことにあります。

ただ、書類の管理、フライトと時差の対応、過去問の弱点分析、スケジュール変更の判断。これらすべてを仕事や家事をしながら保護者だけで完璧に管理することには、物理的にも精神的にも限界があります。一度決めた併願軸をぶれさせないためにも、客観的なプロの目線が必要不可欠です。
◆家庭で実践したい出願戦略3か条

| ▪10月中に、出願日程だけでなく書類手配の完了期限まで可視化する ▪前半戦(10〜11月)で安全校の合格を1つ確保し、メンタルを安定させる ▪直前期の焦りで急なスケジュール変更・志望校変更をしない。変更はプロに相談する |
セミナーのあとは、ぜひご家族でカレンダーを広げてチェックしてみてください。
第2部|直前期のお子様への寄り添い方〜親は「100%の味方」に徹する〜
10月以降の直前期は、表面上は平気そうに見えるお子様でも、心の中では強いプレッシャーと戦っています。特に海外にいるお子様は、現地校の課題との両立、帰国後の日本での生活への不安、周りに同じ受験生の仲間やライバルがいない孤独感など、国内生とは比べものにならないほどのストレスを抱えています。
その状況で、もしご家庭までがピリピリした「第二の塾」のようになってしまったら、お子様は家の中で心が休まる場所を完全に失ってしまいます。
◆お子様が抱えている3つの焦り

| ▪「時間が足りない」という恐怖: 入試まで日がないうえに、過去問で目標点に届かない。本番までに間に合うのかという焦り ▪親や塾の先生の期待に応えたいという重圧: 高額な塾代を出してくれた親、一生懸命指導してくれた先生に対して、落ちたら申し訳ないという気持ち ▪環境の変化に対する不安: 帰国後、日本の学校に馴染めるのかという思い |
口に出すことはなくても、大半のお子様はお父さん・お母さんをがっかりさせたくないと必死で戦っています。
◆イライラや反抗的な態度は「真剣に戦っている証拠」

お子様が時折見せる強がりの言動は、実は親への感謝や、受けているプレッシャーの裏返しでもあります。直前期にお子様が見せるイライラや急な無口、反抗的な態度を見ると、つい「なんでそんな態度を取るの」と叱りたくなる瞬間もあるかもしれません。
しかし、これらは甘えではなく、お子様自身が受験に真剣に向き合い、全力を尽くそうと葛藤している、いわば心と体のSOS反応です。「今、この子は自分の人生に真剣に戦っているんだな」と受け止めてあげることが、すべての出発点になります。
◆親がやってしまいがちな3つのNG行動

▪成果や得点だけに一喜一憂する:
過去問を解いたお子様に「何点だったの?」「合格最低点いった?」と第一声で聞くのはNGです。点数が取れなかったとき、一番ショックを受けているのはお子様自身。そこで数字だけを追及されると、「自分ではなく点数しか見てもらえていない」と感じて心を閉ざしてしまいます。
実際に、毎回点数を厳しく追及されたお子様が答案を隠したり点数をごまかしたりするようになり、苦手箇所の発見が遅れて直前期に大きなロスが生じた事例もあります。

▪情報過多による指示出しのブレ:
ネットの掲示板やSNS、ママ友・パパ友の噂話に感化され、「あの教材がいいらしい」「〇〇ちゃんはもう過去問5年分終わっているらしい」と急に勉強方針を変えたり、他のご家庭と比較したりすることです。お子様は保護者をよく見ています。ぶれる姿を見て動揺し、これまでコツコツ積み上げてきた勉強への信頼を失ってしまいます。

▪感情的なアドバイス・過度な精神論:
「もっと気合を入れなさい」「このまま行けば絶対受かるから」。こうした言葉は確証のないものであり、すでに限界まで頑張っているお子様にとってはプレッシャーにしかなりません。「もう十分やっているのに」と反抗的な態度につながり、それがさらにきつい言葉を生む悪循環に陥ります。
◆等身大の伴走術「結果ではなく行動を褒める」

では、これからの時期、保護者はどのように寄り添えばよいのでしょうか。提案されたのは、次の3つからなる「等身大の伴走術」です。
| ▪結果ではなく行動・プロセスを褒める: 「今日も決まった時間に机に向かえたね」など、本人がセルフコントロールできる日々の習慣を承認する ▪「悪役」はすべて第三者・プロに任せる: 厳しい指導や過去問の計画管理など、喧嘩の種になりそうな役割は外部に任せる ▪親は「100%の味方」として安全地帯に徹する: 食事や睡眠などの環境整備に特化する |
保護者が勉強の指導や計画に介入すると、家庭内がいわば戦争状態のようになり、お子様の安全地帯がなくなってしまいます。厳しい指摘や管理はあえて外部のプロに押し付けてしまうことも、大切な選択です。
◆今日から使える声かけの言い換え

| ▪「今日の過去問、何点取れた?」→「今日目標にしていた大問3まで解き終わったんだね、お疲れ様」 ▪「あと何か月しかないよ、大丈夫なの?」→「毎日決まった時間に机に向かえていて偉いね。体調は大丈夫?」 |
やりきった行動を承認する声かけだけで、お子様は「努力を見てくれている」と感じ、「点数を聞かれるかも」というビクビクした気持ちが薄らいでいきます。残り日数への焦りはぐっと押さえ、行動やプロセスを見ていることを伝えていくことが、お子様に最大の安心感を与え、家庭内の関係も良好にします。
◆合格を引き寄せる家庭の共通点

| ▪お子様が見せるイライラや不安は、真剣に戦っている証拠。温かく受け止める ▪家庭内では指導者にはならず、100%の味方に徹する ▪成績指導や計画管理は第三者のプロに任せ、生活基盤のサポートに集中する |
保護者が完璧である必要はありません。「何があってもあなたの味方」とどっしり構え、学習管理は第三者に任せて温かく見守る。これが、合格を引き寄せるご家庭の共通点です。
質疑応答〜セミナー参加者の疑問に回答〜
◆Q1:併願校を決めるポイントは?
早めに合格が取れそうな安全校を入れることと、お子様自身が「ここなら通いたい」と思える学校のみで構成することです。気乗りしない学校を無理に受けてもモチベーションは上がらず、そのために一時帰国するのは大きな負担です。
もう一つ、意外と大切なのが合格発表日と入学金手続きの締め切り日の関係です。A校の合格発表日より前にB校の入学金手続きの締め切りが来ると、無駄な入学金を払うことになりかねません。延納が効くかどうかも含めて、日程が重ならないように組むことも保護者の大切な役割です。
◆Q2:併願校は何校くらいが望ましい?
一時帰国をして受験する場合は、体力面・精神面を考慮して3〜4校程度が望ましいです。一時帰国を繰り返すと負担が重くのしかかるため、何よりお子様が無理のない範囲で設定してください。
◆Q3:提出書類の注意点は?
提出書類の多さも、国内入試との大きな違いです。特に成績証明書は、厳封が必要かどうかを必ず確認してください。日本人学校であれば毎年のこととして慣れている学校も多いですが、現地校など対応に慣れていない学校では、書類を紙一枚でそのまま渡されることがあります。
募集要項に「厳封して提出」とある場合、学校印がない、封の境に印がないといった理由で公的な書類として受け取ってもらえず、出願資格を失うケースも実際にあります。募集要項をよく読み、何がどういう形で必要なのかを確認したうえで在籍校に依頼しましょう。
◆Q4:面接で併願校について聞かれたら、どう答える?
正直に学校名を答えて問題ありません。「〇〇校も併願していますが、貴校のこういった点に最も魅力を感じていて、貴校を第一志望にしています」と、アドミッションポリシーやホームページの内容に沿って論理的に、前向きに答えることが大切です。
むしろごまかすような言動は「来る気がない」と思われたり、コミュニケーション能力の面でマイナス評価になったりしかねません。堂々と答えましょう。
◆Q5:願書の志望理由はどう書けばよい?
志望理由や海外生活の振り返りを書く欄では、次の3段構成で考えると書きやすく、読む学校側にも伝わりやすくなります。
| ▪具体的に印象に残った海外でのエピソード ▪そこから得た学び ▪その学びをその学校でどう活かしたいか |
「過去・現在・未来」の軸で考えると、非常に明瞭なストーリーになります。さらに、アドミッションポリシーや募集要項にある「求める人物像」に寄せて書くことで、一般論ではない、その学校のための志望理由書になっていきます。
近年はAIで手軽に書ける時代ですが、AIが作ったものをそのまま使うと一般論すぎて味がなく、学校側には意外と分かってしまいます。その学校に寄せること、自分の思いを気持ちとして乗せることは、やはり自身で作成するのがよいでしょう。
無料個別学習相談を受付中
名門会オンラインでは、セミナー参加者向けに無料個別学習相談を受け付けています。残り数か月の直前学習の優先順位の整理、帰国生入試に向けた具体的な併願スケジュールの検討など、ご相談内容は何でも構いません。プロの受験アドバイザーが1対1で、第三者の客観的な視点から具体的にアドバイスします。
受験まで日がない方も、来年以降に受験を控えている方も、お気軽にご相談ください。
名門会オンライン
名門会オンラインは、東証プライム上場リソー教育グループの名門会が運営する、帰国生や難関校受験を目指す生徒に向けた完全1対1個別指導のオンライン学習サービスです。
授業は一般的な会議ツールではなく、お互いの顔と手元のノートをリアルタイムで同期する独自のオンラインシステムで実施。お子様がどこで悩み、どこで手が止まったかという思考のプロセスまで見逃さない、対話型の指導を行います。
社会人プロ講師または難関大学から厳選した学生講師に加え、受験全体のマネジメントを担う教務担任が必ずご家庭に1名つき、学習計画の策定と進捗管理、合格までの実行支援を責任を持って行います。
講師と教務担任のダブルサポートにより、海外からでもぶれずに志望校合格へ導く。それが、多くの海外在住生に選ばれている理由です。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
最新情報をLINEとメルマガでお届けしています!ぜひお友だち追加・フォローしてください。


