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【連載第3回 アイビーリーグ合格への道】アメリカの大学受験の流れやエッセイ対策方法を解説

磯崎みどりです。前回はアイビー・リーグ大学群を含む私立大学と州立大学を比較し、大学選びに考えるべきポイントについて書きました。今回は、私事ながら、私の家族全員がアイビー・リーグで学んできた例を挙げながら、アイビー・リーグで学ぶとはどういうことかということについて書き、IB生の大学入試の手順についても少し書いてみたいと思います。

【連載】
【連載第1回 アイビーリーグ合格への道】アイビーリーグ8大学の特徴は?大学や大学院の違いもご紹介
【連載第2回 アイビーリーグ合格への道】アメリカの大学に行くには?大学の選び方や種類を徹底解説!

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大学院入学の例

我が家は夫、私、そして娘の三人家族でしたが、三人ともアイビー・リーグの大学にご縁がありました。まずは私の大学院入学の例を紹介したいと思います。

学び直しの教育機関として、私はコロンビア大学大学院を選択しました。日本語指導者の一人として、継承語として日本語を学ぶ子どもたちの指導の研究を目的に大学院で学びたいと考えたからです。

コロンビア大学大学院を選択した理由は、日本語・日本研究で輝かしい実績を残した故ドナルド・キーン氏に深いかかわりのある教室であることを知ったことから、ぜひこの研究室で学びたいと考えたことです。また、コロンビア大学は、日本語指導では全米だけではなく、他の国にも大きな影響を与える、優れた教育カリキュラムを作り上げていることで有名だったからです。

場所はニューヨークマンハッタン。大変危険な地域として知られているハーレムのすぐ隣ということで、80年代のアメリカの荒廃期を知る私にとっては、娘が大学入学を考えていたころには行かせたくない場所でしたが、その後すっかり様相が変わったこともあり、受験準備を始めました。とにかく英語教師として早稲田渋谷高校、日本人中学校でも指導していた私ですが、きちんと英語力を計るテストを受けていたのはずっと若い時。しばらく英語力に関わるテストは受験していませんでした。

英語力を示すテストの提出が必要なため、まずはTOEFLを受験するところから準備が始まりました。それをクリアしたら、次はなぜ大学院で学びたいか、何を研究するつもりであるかについてエッセイを書く作業がありました。私の目的ははっきりしていたこともあり、エッセイを書くのには何の問題もありませんでした。かなり多くのエッセイ提出、プレゼンテーションなどが求められる授業が終わった後、修士論文の提出も必要で卒業が決まった時には、本当にほっとしたものです。

仕事をしながら学ぶのは本当に大変でしたが、アイビー・リーグの大学ならでの強みを感じたのは卒業後です。次々と来る新しい就職先の紹介、アメリカが中心とはいえ、あちこちで活躍する卒業生たちは、皆さん同じ分野で活躍される方ばかりなので、学会などで交流の機会もあり、それらはアイビー・リーグならではの強みと言えるかもしれません。

大学入学の例①ー全体の流れと大学生活

大学学部受験はもっと幅広く審査され、問われることが多いです。今度は娘の例を挙げてお伝えしていきます。ただし、個々によって入学許可に繋がる例は違ってくるので、ご参考までに。

娘の場合は、高校生として大学受験をするにあたり、通学していたUWCSEAからUniversity Counselingとして、丁寧な指導を受けていました。UWCSEAはそれまでに多くの卒業生を送り出してきていただけに、卒業生の成績、合格大学などデータがそろっています。

娘はIBDPカリキュラムで学んでいて、その最終テストでのPredict(予測)の点数で全科目で満点の合計45点を取得していたことから、高校側からすべてのアイビー・リーグの大学に願書を提出してはどうかと勧められました。それは、彼女の成績なら希望の大学を含む多数のアイビー・リーグの大学に合格する可能性がとても高いからというのが理由でした。

アメリカの大学をIBDPカリキュラムを元に受験するとなると、大学に提出するのはPredictの成績(その成績にはExtended Essayと呼ばれる卒業論文とTOK(Theory of Knowledgeと呼ばれる科目)の点数、そしてボランティア活動などの評価となるCAS((Creativity, Activity, Serviceの略)の点数を含みます)と高校4年間の成績、そして大学ごとに課されるエッセイの提出です。

その他、英語が母国語ではない国の外国人の場合、英語を母語レベルで学習しているということを証明できない場合、英語力を示すTOEFLを提出するように言われる場合もあります。それら書類提出の後、もしくは提出とほぼ同時にインタビューもあります。

娘は後に、彼女自身が大学卒業生としてのインタビュアーを務めていましたが、大学への思いや高校生活で考えてきたこと、アクティビティーで取り組んできたことなど、さまざまな分野の質問を受け、それに応えることになります。

娘の場合、上記のようにPredictで満点を取っていたこともありますが、University Counsellerから言われたことは、エッセイを書く力が強いため、大学ごとに課される課題にも難なく取り組めるだろうと、多くの大学受験を勧められました。

つまり、自分をアピールする魅力的なエッセイを書けることがアメリカの大学、特に私立大学の入試では重視されるのです。結局、第1志望のイェール大学に合格した時点で、他の大学の受験はすべて取りやめました。早くに合格が決まるEarlyと呼ばれる出願で、12月クリスマス前には合格が決まっていたことから、高校最終学年の年末年始はゆったりとした気持ちで過ごすことができました。

アイビー・リーグの大学で学ぶ意義として言えるのは、優秀な友人たちと共に学べるということでしょうか。そして、学生が自分で学ぼうとする姿勢を見せれば、さまざまな形で大学からの支援があったこともその意義だと思えました。

例えば娘の場合、卒業論文を書くに当たって、日本で研究するためのすべての費用を大学側に認めてもらっていました。また、英国オックスフォード大学への留学・卒業の際には、学内のシステムではなく、アメリカの大学すべてから応募できる留学システムを使って達成しましたが、その際には他のアイビー・リーグ生もいて、積極的に何事にも挑戦する傾向の強いアイビー・リーグ生とは現在でもずっとよい仲間としてずっと仲良くしています。とても良い経験だったのではないかと思います。

そして、何より、大学のネームは偉大です。アイビー・リーグの大学は長い伝統を持つため、名だたる卒業生たちがいるからです。もちろんアイビー・リーグを卒業したからと言って、学部生の場合はそれだけで良い仕事に就ける時代はすでに終わっているため、卒業しただけではどうにもなりませんが、同じ出身大学だと分かると大切にしてくれる先輩たちがいることは心強いものがあります。

さて、ここまで大学入学までのおおよその流れと大学生活について娘の例を挙げて書きましたが、次は、私たちの経験ではなく、一般的な内容として、合格を左右すると言ってもいいエッセイと、そのエッセイを書く元になるともいえるCASに焦点を当てて書いてみたいと思います。

大学入学の例②ーエッセイ

大学が課すエッセイは、自分をアピールし売り込む場となります。大学に自分を知ってもらうための、またその大学に入学したい熱意を伝えるための、自己紹介文です。ですから、個人的な経験、価値観、意欲、目標をアピールする手段で、いかに自分がユニークであるか、それを言葉にして伝えられるかがポイントです。

大学入学の例③ーCAS

CASはどんなことを選択するのが一番大学にアピールとなるか、と、高校生は皆考えると思いますが、一番大切なのは「本当に自分が常に気にかけていることに取り組むこと」だと思います。大学入試のためだけに、付け焼刃で取組んだことは、インタビュアーやエッセイを読む大学のアドミッションオフィサー(入学審査官)に見破られてしまうことが多々あるからです。インタビューでは相当深く質問されると思っておきましょう。

もちろん、それでも何もしなかった生徒と違って、意識を持って何らかの活動に取り組んだことをうまくアピールできれば、それが合格に繋がることもあります。まずは、「自分にとってどんなことをすることが社会のためになるのか」「自分の得意を活かすにはどんなことをすればいいのか」と言ったように考えてみることが大切でしょう。

ただ、これはアイビー・リーグの大学を受験する時だけに必要なことではありません。私が今まで指導してきた生徒の中には、強い意識を持って自分の得意を活かし、スタートアップの会社を立ち上げることを考え、スポンサーを見つけたり、生徒会活動に熱心に取り組んだりした生徒がいます。

アイビー・リーグの大学に行った生徒ではありませんが、そういった社会意識を持って、いわゆる机に座ったテストの点数だけ高得点を狙うような生徒ではない、オールラウンドの生徒がアドミッション制度の入試では求められているということは間違いないことでしょう。

まとめ

以上、経験したことを交えて一連の大学院、大学入学の流れを書きました。いつもお伝えするように、これは一経験者の例であり、すべての皆さんに当てはまる話ではないので、すこし参考にしていただける程度の話かもしれません。

そして、アイビー・リーグの大学について連載してほしい、というお題とは離れてしまうかもしれませんが、アメリカの大学はアイビー・リーグの大学だけではないということを重ねてお伝えしておきたいと思います。

それに、皆さんが知りたいことは大学入学の方のことかもしれません。でも、大学で入学することだけを考えるのではなく、大学院での入学も選択肢の一つだということをお伝えしておきたいです。大学入学は、第2回でもふれたように、「カラー」に合う大学を選ぶことが大切でしょうし、大学側が「この生徒は我が大学に合う生徒だ」と考える生徒を合格させます。

たしかにアイビー・リーグの大学は厳しい競争を乗り越えてきた生徒が集結するだけに、優秀な学生揃いです。でも決していい面ばかりではないので、次回はその陰の部分にも少し触れながら、どうやって自分の「カラー」だと感じて大学を選ぶといいのか、など、もう少しアイビー・リーグの大学についての経験談を書いてみたいと思います。

磯崎みどり氏ご紹介

継承日本語指導者として、20年以上の実績を誇り、アメリカコロンビア大学大学院で継承語について研究、修士課程を修了。

アメリカ、シンガポールの補習校指導を皮きりに、現在シンガポール日本語文化継承学校校長。また、IBDP認定指導員として、日本語文学(Japanese A Literature)を指導。シンガポールではAIS(オーストラリアンインターナショナルスクール)でIBDP日本語文学、IGCSE相当の母語日本語、Tanglin Trust SchoolでGCSE、A Level日本語を指導。その他、Marlbourough College (Malaysia)のIB Japanese A LiteratureのSSST (School Supported Self Taught)を指導。

英語指導については、シンガポール日本人学校中学部の英会話クラス講師、早稲田渋谷シンガポール校英語教員を歴任。

自身がマルチリンガルの娘を育て上げた母親の一人。

日本語文化継承学校のご紹介

日本語文化継承学校は、日本国籍をもちながらも、海外生活が長く、早急な日本への帰国予定がない、もしくはシンガポールに永住する子供たちを主な対象とした、日本語と文化の両面から学ぶことを目的とした学校です。

さまざまな環境の子どもたちにあった学びの場を提供するため、日本語文化継承学校はさまざまなコースを開催しています。

詳しくは、ホームページ

日本語文化継承学校の日本語教師募集

継承学校は、継承語として日本語を学ぶ子どもたちを応援する学校です。
一緒にそういった子どもたちを指導してくださる教員を募集しています。
詳細を知りたい方は、sjkeisho@yahoo.co.jp にご連絡ください。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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