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ギフテッド教育とは?〜日本や海外の取り組み事例をご紹介〜

ギフテッド教育とは?日本ではどのようなギフテッド教育の取り組みがされているのでしょうか?アメリカやシンガポールの取り組み事例とともにご説明します。

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ギフテッドとは?

最近では耳にすることが多くなった「ギフテッド」。英和辞典で調べると「天賦の才のある、有能な」とある通り、突出した才能を持っているお子さまのことをいいます。ですが、実は「ギフテッド」の定義は国や学区、学校によっても異なります。

アメリカのギフティッド教育協会では、「ギフティドとは1つか複数の分野で、高いレベルの才能(並外れた思考力と学び)や能力(トップ10%以上で達成されていることや滅多にない偉業を達成している)を示す。分野とは数学や音楽や言語など。絵画、ダンス、スポーツなどの分野も。」(日本ギフティッド協会H.P.より抜粋)と定義されています。

また、アメリカ政府はギフテッドを「生徒、児童、若者に対してギフテッドおよびタレンテッドという言葉が用いられた場合、知性、創造性、芸術、リーダーシップ、あるいは特定の学術分野において高い潜在能力を示し、また、そうした能力をフルに開発するには通常の学校教育にはない支援や活動を必要とする子供、生徒、若者を意味する。」(日本ギフティッド協会H.P.より抜粋)と定義しています。

ギフテッドの特徴

National Association for Gifted Childrenによると、ギフテッドの子どもは共通した特徴があるとしています。その一部をご紹介しましょう。お子さまを持つ親として、「わが子はギフテッド教育が必要だろうか?」と疑問に思った時に手助けとなる「ギフテッドの特徴」がサイトに紹介されています。

● 幼児期にも関わらず、注意深い
● 頭の回転が速い
● 記憶力が優れている
● 年齢の割に語彙が多く、複雑な文章を駆使する
● 言葉のニュアンス、比喩、抽象的な考えを理解する能力が高い
● 感受性が強い
● 思考は抽象的、複雑、論理的、洞察的
● 集中力が高い
● 自分の考えに没頭する-空想家
● 少し練習しただけで、基本的なスキルを素早く習得する
● 鋭い質問をする
● 興味の範囲が広い、または一つの分野に極端に集中する
● 好奇心が旺盛
など

ギフテッド教育とは?

ギフテッド教育とは、ギフテッドと呼ばれる、高い能力を持つ子どもの才能を伸ばすための教育です。ギフテッドの子どもは、高い能力を持つゆえに自分の年齢相当の学年の学習では学習意欲がわかず、高度な学習環境が必要な状況になることが多い傾向です。そのため、その才能や能力を埋もれさせないよう、才能に合った学習環境を作ることが必要と言われています。

また、ギフテッドの子どもは繊細で感受性が強いなど、情緒的にも支援が必要な場合があると言われています。突出した才能を伸ばすと共に、社会的・情緒的な支援もギフテッド教育では重要な柱となっています。

アメリカのギフテッド教育は?

アメリカは、他国に先駆けてギフテッド教育が始まった国です。ギフテッド教育の選定方法は、学力や知能レベルのテスト、親や教員の推薦などです。カリキュラムは州によって異なり、実施方式も多様です。ギフテッドプログラムは、数学に突出した才能があれば数学を伸ばす内容を、アートに才能があればアートを、ときめ細やかな対応が可能となっています。

(例)公立学校の場合

● エンリッチメント方式
通常のクラスに在籍しつつ、レベルの高い課題や宿題に取り組む方式

● プルアウト方式
定期的にギフテッドの生徒だけを集めた特別授業を行う方式

● 飛び級方式
上級生の授業に参加、もしくは本来の学年に在籍したまま、特定の授業のみ上級生とともに受講する方式。

この他にも、夏休みの期間中にギフテッドのこどもを対象にプログラムを提供する、サマースクール方式などがあります。

日本のギフテッド教育は?

日本では、2021年に文部科学省が「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導」を検討開始しました。文部科学省では「ギフテッド」という用語は人によって受け止め方のイメージが異なる場合があるため、「特異な才能のある児童」という表現をしています。

2023年には「特定分野に特異な才能のある児童⽣徒の⽀援」の推進事業が始まり、保護者や教員への周知や研究結果を示しています。「特異な才能」をどのように定義し、どのように伸ばしていくのかは、慎重な議論が必要で具体的な方向性が決まっているわけではありません。

しかしながら「多様性を認め合う個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の一環」として、学校はもちろん、学校外での学びの場所と連携をしながら支援を進めていく方向です。

<文部科学省による既存の制度>

・スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業
・WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業
・ジュニアドクター育成塾
・グローバルサイエンスキャンパス
・国際科学オリンピックへの支援
・科学の甲子園、科学の甲子園ジュニアの開催
など

<大学による取り組み>

2017年に話題となったのが、東京都渋谷区が「異才発掘プロジェクト ROCKET」で実績のある東京大学先端科学技術研究センターと連携したことです。学校教育になじみにくいお子さまや、特定の分野で突出した能力を持つお子さまなどへ特別プログラムを提供し、学びの場を提供していました。(現在は「LEARN」というプログラムに移行しています。)

<その他、民間事業者、地域の施設、NPOなどによる取組 >

・NPO法人TEAM GIFTED
・ 孫正義育英財団
・ 日本ギフティッド協会
・ 一般社団法人Education Beyond
・ 一般社団法人ギフテッド応援隊
など

シンガポールのギフテッド教育は?

シンガポールではプライマリー3年生でGEP(Gifted Education Programme)に参加する生徒を選抜し、プライマリー4年生からGEPが実施されている学校で学ぶこととなります。GEPプログラムのカリキュラムは、才能のある生徒の認知・情緒的なニーズを満たす様に設計され、生徒たちは充実した学習環境で学ぶことができます。

文部科学省が委託研究を行った調査報告書によると、中国や韓国などアジアの国もシンガポールと同様で国家としての人材開発、科学振興を軸として取り出し教育を行っています。

ギフテッド教育で大切なこと

ギフテッド教育で大切なことは、どのような方法であっても「子どもの突出した才能をこわさないこと、学習意欲や好奇心を失わせないこと」です。国や地域によって文化的・社会的背景も異なることから、当然ギフテッド教育は異なります。

しかし最終目標はどこも同じく、子どもの特性に寄り添い、適切な教育環境の中で「得意」を伸ばしていく。そして最終的にはその能力を社会に貢献することによって豊かな人生を送る、という方向性にあるのではないでしょうか。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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