HOMEお役立ち記事アメリカの教育制度を解説!気になる日本との違いや学校の種類をご紹介

アメリカの教育制度を解説!気になる日本との違いや学校の種類をご紹介

アメリカの教育制度とはどのようなものなのでしょうか?プレスクール期から義務教育期間、大学までの教育をご紹介します。また、気になる日本の学校との違いについてもぜひご覧ください!

▼こちらもおすすめ


アメリカの学校種類・学年について

 

プレスクール

受け入れの年齢は各プレスクールにより決められていますが、多くの施設が3才から5才児を受け入れています。小さい子どもは発達の速度も違うので入学時期は子どもそれぞれの状況や家庭の環境に応じてプレスクールと相談するのも可能です。

また義務教育ではないため、私設のプレスクールがほとんどですが、州によっては公立のプレスクールがあります。私設のプレスクールが多いだけに、教育方針もさまざまです。シュタイナー、モンテッソーリの教育方針を取り入れているところ、宗教の教えに基づいて教会が運営しているところ、早期幼児教育に力をいれている施設など多種多様です。

地域で人気のプレスクールはウェイティングリストがあることも少なくないので、気になるプレスクールがあれば早めに見学をしておくことをおすすめします。


キンダーガーデン

就学前クラスである、キンダーガーデンは公立小学校に併設されていることが多いです。年齢はその年の7月〜9月*に5才になる子どもが対象となります。 *州により異なります。

また、州によってはキンダーガーデンが義務教育である地域とそうでない地域があります。キンダーガーデンでは就学に向けて必要な社会性や読み書き、計算、理科などの基礎を楽しく、遊びの中で身につけます。

カリフォルニア州では公立小学校併設キンダーガーデンの一年下に「トランジショナルキンダーガーデン」という学年を設けています。その年の9月2日〜12月2日生まれに5才となる子どもが対象と限定的ではありますが、私設のプリスクール代がかからず教育費用をおさえることができるので、人気のプログラムです。


義務教育K-12

一般的に6才から18才までが義務教育期間となります。この12年間の分け方は州や教育機関により異なりますのでここでは一般的な例をご紹介します。呼び方もハイスクール(High School)をセカンダリースクール(Secondery School)と呼んだりと地域により多様です。

また、ここでは公立学校のご説明をしていますが、アメリカではプライベートスクール、チャータースクール、またホームスクールなどの選択肢もあります。

・Elementary school

1st Grade(6才〜7才)から5th Grade(10才〜11才)
小学校では英語(Literacy)、算数、理科、社会に加えて体育や音楽、アートに外国語の授業があります。各学年ごとに到達目標が決められています。

また、STEAM教育(STEAMとは、Science=科学、Technology=技術、Engineering=工学・ものづくり、Art=芸術・リベラルアーツ、Mathematics=数学の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念)も取り入れられています。

・Middle School

6th Grade(11才〜12才)から8th Grade(13才〜14才)
エレメンタリースクールを卒業し、ミドルスクールに進むと学校の環境は大きく変化します。先生がクラスルームに来るのではなく、自分が選択した授業に合わせて時間ごとに教室を移動するように。自主性、自己管理が求められる学校生活となります。

また、各クラスから宿題が出るので勉強も難しくなり宿題の量も増えます。学区によっては、生徒の習熟度に応じて授業が選択できるので、習熟度の高い生徒はレベルの高い授業を取り、より丁寧なサポートが必要な生徒についてはサポートクラスなどを履修することができます

クラブ活動はシーズン毎。スポーツの強い学校だとトライアウトという入部試験を合格しないと入れない部もあります

・HighSchool

9th Grade(14才〜15才)から12th Grade(17才〜18才)
9th Gradeを「フレッシュマン(Freshman)」、10th Gradeを「ソフォモア(Sophomore)」、11th Gradeを「ジュニア(Junior)」、12th Gradeを「シニア(Senior)」と呼びます。

アメリカでは高校も義務教育のため、基本的に住んでいる地域の学区内の高校に進みます。アメリカのハイスクールは大学と同じようなシステムで単位制となっています。クラスや学級というものもなく、9年生から12年生が同じクラスで受講します。

ミドルスクールよりもさらに授業は細分化され、選択科目のバリエーションも広がります。ハイスクールに進むと大学進学のための単位、高校卒業のための単位数をとっていく必要があり、まさに大学進学のために戦略をたてながら単位を取得する必要があります。自分の進路に沿って必要な単位を自由に選択ができるので日本のように文系、理系と選択することもありません。

単位といっても、数学や理科といった学力で得られるものだけではありません。ボランティア活動、部活動や得意分野でのコンテストや大会参加も加算される科目があります。また、自分のペースで課題を進め、プレゼンを行う機会も増え、まさに多忙を極める学業生活です。


義務教育後の学校

アメリカの大学進学率は約87%と世界でも高い比率を誇っています。高校在学中の成績(GPA)、SAT、エッセイ、内申書や大会などでの受賞歴などで入学選考が行われます。(コミュニティカレッジは審査はありません)アメリカの大学の種類はこちら。大学卒業後、さらに大学院に進む人もいます。

・私立総合大学:
アイビーリーグをはじめとし、名門大学が多数。専門性の高い大学院が設けられています。
・リベラルアーツカレッジ:
アメリカ大学教育のルーツ。バランスのとれた人格形成に重きをおき、幅広いさまざまな分野を学びます。
・州立大学:
州民に対しては入学基準も低く、学費も抑えることができます。農業、工業、林業などの実践的な学問に力を入れています。
・公立大学(コミュニティカレッジ):
地域の住人のために設立された大学で、入学審査は基本的にありません。地域の雇用促進のために職業訓練にも力をいれており働きながら通学している人も多くいます。他の大学が4年生に対してこちらは2年制です。
・芸術大学・音楽大学
・工科大学



地区によって異なる?!アメリカの教育制度

アメリカの教育制度は日本のように国で統一されているわけではありません。公立の学校は、各州管轄の統一学校区(Unified School District)または学校区(School District)によって運営されており、カリキュラムや使用教材を決めています。

義務教育の年齢

例えば、カリフォルニア州やニューヨーク州の義務教育期間は6才〜16才、ハワイ州は5才〜18才、テキサス州は6〜19才など州によって異なります


学期スケジュール

8月終わり頃〜9月頭:新学期
11月中旬(感謝祭時期):秋休み
12月下旬〜1月初旬(クリスマス〜新年):冬休み
1月初旬:2学期開始
4月下旬(イースター頃):春休み
6月初旬:学年終わり、夏休み開始

こちらはカリフォルニア州の小学校の休みの例ですが、こちらの日程も同じ州内でも学区によって異なります。アメリカは国土が広いので、冬の長い地域では冬休みが長かったり、猛暑の日が続く地域では夏休みが長くとられたりなどその地域の事情により決まることもあります


カリキュラム

統一学校区(Unified School District)または学校区(School District)で使用する教材や、カリキュラムも異なります。基本的に公立学校の予算は地域住民の固定資産税などで運営されています。住んでいる地域住人が裕福なエリアであるとそれだけ教育資金も潤沢になる仕組みになっています。運営資金が多いとそれだけ豊富なカリキュラムを提供することができ、地域によって差が出ます。

日本から渡米したばかりの場合、英語を第二言語とする子ども向けの英語の補講授業(ESL=English as a Second Language)などを受けることがあります。このクラスの有無もこの学校区の財源によることが多いです。



日本とアメリカの教育制度/環境の違い

通学方法

治安の観点から、子どもが一人で出歩くことはないため、通学は親の送迎もしくはスクールバスでの通学となります。車生活がメインの地域では学校前にお迎えの車がずらっと並ぶ光景が珍しくありません。高校、大学生になるとマイカー通学する学生もいるため、学校には広い駐車場が完備されていることが珍しくありません。


服装や校則

アメリカの公立学校は制服がないため、中学、高校も服装は自由です。ただし、あまりに露出が多かったりドラッグや差別的なワードや政治的な意図のあるTシャツなどは禁止されています。学校ではパジャマデイ、クレイジーヘアデイ、など登校する時に服装が指定されるイベントも頻繁にあり先生も含めて盛り上がります。

校則も日本に比べると厳しいものはありませんが、銃の規制、いじめに対する処罰は日本よりも敏感で厳重です。個人の自由を尊重しつつも、社会的なルールを順守する環境です。


先生の役割

小学校においても、高校においても先生の役割は「勉強を教える」こと。どうしても態度が悪い生徒や指導が必要な生徒はクラスの先生ではなく、校長室で校長により指導されます。送迎時に親が迎えに来られず子どもが困っていてもそれは先生の仕事ではなく、親の責任です。業務内容、責任の所在が日本よりも明確に分かれています

ハイスクールなどの進路指導も専任のカウンセラーがおり、先生が指導も進路相談も、、と二役、三役も担うことはありません。


評価方法

日本では学力やテストの点数で学校評価が決まることが多くありますが、アメリカでは自主性、積極性、コミュニケーションスキル、何かを人に発信しようとする姿勢が評価されます。大学の選考方法もそこに通じるものがあり、アメリカでは「何を頑張ってきたか」などの課外活動の評価が大きなウェイトを占めます


子どもの能力に合わせた学校制度

身体的、精神的に障害がある子どもも無償で適切な教育を受けることができます。適切な教育とはその子ども、一人ひとりの状況に合わせた教育でIEP(Individual Education Program)と呼ばれています。

また、能力が突出したいわゆる「ギフテッド」と呼ばれる子どもについては、取り出し授業や飛び級などで子どもの能力に応じた教育環境を提供できるようにしています。


日本と似て非なるアメリカの教育制度

アメリカの教育制度、いかがでしたでしょうか?州によって義務教育の年齢が異なったり、学区によりカリキュラムや休みの時期が異なったりなど驚きの内容も。また、自由で好きなことを謳歌しているイメージが強いアメリカのハイスクールですが、実は日本と同じく学業は多忙です。これから渡米するお子さんの参考になれば幸いです。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

【関連記事】
帰国子女の英語力保持!帰国後も英語力を維持してさらに伸ばす方法とは?

帰国するのに日本語ができない?帰国子女のお悩みを解決する対策法をご紹介

【2023年度】帰国子女の中学受験は英語選択可!英語選択入試のメリットや受験校も

帰国子女向けの相談窓口をご紹介!海外子女が持つ教育のお悩みを解決


最新情報をLINEとメルマガでお届けしています!ぜひお友だち追加・フォローしてください。

お役立ち記事の一覧へ