アメリカの大学に行くには?大学の選び方や種類を徹底解説!【連載第2回 アイビーリーグ合格への道】
磯崎みどりです。アイビー・リーグ大学群についてその特徴を書くというご要望に答えて連載を始めました。前回は一般的な、アイビー・リーグとは何かを知らない方々にも分かるようにと思って簡単な説明を書きました。そして、今回はアイビー・リーグと呼ばれる大学群とその他の大学を比較し、大学選択の参考にしていただきたいと思います。
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アメリカの大学概要
アメリカには、3,982校の大学があります(この数字には、認定制度による認定を受けていない大学も含まれています)。 その内訳は、公立大学が1,625校(40%)、私立大学が2,357校(60%)です(2019~2020年)。
公立大学には「コミュニティ・カレッジ」と呼ばれる学校が含まれています。「コミュニティ・カレッジ」とは、地域住民のための教育機会提供の場として設立された高等教育機関のことで、 最近では海外からの留学生にも門戸を拡大する大学が増え、地域住民に留まらず、留学生受け入れのための環境整備やプロモーションに積極的なカレッジが目立ってきています。
一般的には修学期間が2年で学位及び学術称号が授与されます。しかしながら、日本の大学のイメージではなく、2年という期間の問題もありますが、短大であり、多くの学生がその後、4年生の大学に編入することを考えます。
今回は、こういった「コミュニティ・カレッジ」を含む州立大学、私立大学、そしてアイビー・リーグの大学(私立大学に含まれる)を比較して書きたいと思います。
州立大学
州立大学は学費が比較的安く、幅広い学生層が集まることが特徴です。特に、該当州の州民はその恩恵を受け、州内学生向け学費と留学生向けの学費の金額は別々に設定されています。ただし、州によっては最低2年はその州に住居を構えていることや、その州で保護者が働いていることなど条件付きの場合もあるため、確認が必要です。
入学難易度を抑え、なるべく多くの学生に大学教育を与えようとするために、ほとんどの州立大学は1万人以上の学生数を抱える大規模大学となっています。多くの学生を受け入れる一方で、州の予算は限られているため、教育水準や教育サポートの水準は私立大学よりも低い大学が大半です。大規模クラスを実施する総合大学であり、知識を伝達する知識重視の教育内容になっていることが一般的です。
そんな中でも、もちろん高い水準の大学も含まれ、カリフォルニア州立大学群や、その他専門分野に特化して有名な学部がある大学があります。州立大学への留学を考える時には、その大学の希望学部がどのような位置づけの大学なのかについてはよく調べてほしいと思います。
私立大学
アメリカは私立大学の方が州立大学より名声が高い場合が多く、名門大学が多くなっています。私立大学は小規模大学であることが多く、受け入れる学生数を制限しているため入学難易度が高く、小規模で密度の濃い、良質なリベラルアーツ教育*を行っている大学が多く見られます。その分、授業料は高くなっています。入学審査は高校での学業成績に限らず、さまざまな書類を提出させ、総合的に学生を判断しようとする大学が多いです。
アイビー・リーグの大学群はこちらに含まれます。アイビー・リーグの大学は、リーダーとしての素地を養うリベラルアーツ教育が大学教育の根幹であり、総合大学として専門的かつ先端的な研究に力を入れているという点で、優れた大学群であると言えます。
*リベラルアーツ教育
「幅広い教養を身につけ、人格的にバランスがとれたリーダー」を育てていくようになります。このような教育を「リベラルアーツ教育」といいます。
大学を選ぶにあたって重要なこと
留学を検討する際は、自身の目標や経済状況、学習環境などを考慮し、州立や私立など、さまざまな条件の違いを理解した上で最適な選択をすることが重要です。そこで、考えるべきポイントを少し書いてみたいと思います。
① 私立を選ぶか、州立を選ぶか、リベラルアーツの大学教育か総合大学か ② 大学の規模は、小規模を選ぶか大規模を選ぶか ③ 地域はどこを選ぶか (例:西側もしくは東側) ④ 立地はどういうところを選ぶか (例:都会もしくは郊外) ⑤ 費用はどの程度準備できるか |
と言ったことになると思います。そして、大学を選択する際、よく参考にするのが、競争率だったり、大学のランキングだったりするわけですが、それらはあくまで数字です。例えば、競争率が高い大学が難易度が高い大学と思うかもしれませんが、それは、単に力及ばずとも挑戦しようとする学生が多く集まるだけかもしれません。
また、ランキングも毎年のように入れ替わり、上位10校ぐらいまでは、ほとんど差はなく、それよりも学びたい学部・学科が充実した大学であるのかどうかや、その大学での生活が自分の生活スタイルに合ったものであるのかが大切です。大規模な大学で埋もれてしまうことを恐れるなら、費用が掛かっても小規模大学を選ぶなど、自分に合った大学選びをすることが非常に大切だと考えます。
この「自分に合う」大学ということを表現する時、自分の「カラー」に合うところを選べ、というような表現をすることがあります。自分の「カラー」を見つけるためにやっていただくとよい最もおすすめの方法は、その大学に通っている学生や卒業生の話を聞くことです。
憧れの大学の先輩の話を聞くということだけでも大切だとは思いますが、その学生や卒業生と話してみて、自分の考える大学像と彼ら・彼女らが話す大学像が一致すると思った時には、その大学はあなたの「カラー」の大学なのではないでしょうか。
そういった意味では、アイビー・リーグは、長い歴史の中で素晴らしい卒業生を送り出し続けている大学群ですから、この人のようになりたいと思う先輩の姿が見られるのではないでしょうか。
まとめ
アイビー・リーグの大学を含む私立大学、州立大学と大きく分けてアメリカの大学全般を見てきましたが、キーワードは「リベラル・アーツか総合大学か」ではないかと思います。アイビー・リーグの大学群は、その両面を兼ね備えているという点が、やはりトップ大学と呼ばれるゆえんだと言えるでしょう。
次回はアイビー・リーグで学んだ私たち家族の大学入学、大学院入学の例を挙げながら、アイビー・リーグで学ぶとはどういうことかということについて書きたいと思います。
磯崎みどり氏ご紹介
継承日本語指導者として、20年以上の実績を誇り、アメリカコロンビア大学大学院で継承語について研究、修士課程を修了。
アメリカ、シンガポールの補習校指導を皮きりに、現在シンガポール日本語文化継承学校校長。また、IBDP認定指導員として、日本語文学(Japanese A Literature)を指導。シンガポールではAIS(オーストラリアンインターナショナルスクール)でIBDP日本語文学、IGCSE相当の母語日本語、Tanglin Trust SchoolでGCSE、A Level日本語を指導。その他、Marlbourough College (Malaysia)のIB Japanese A LiteratureのSSST (School Supported Self Taught)を指導。
英語指導については、シンガポール日本人学校中学部の英会話クラス講師、早稲田渋谷シンガポール校英語教員を歴任。
自身がマルチリンガルの娘を育て上げた母親の一人。
日本語文化継承学校のご紹介
日本語文化継承学校は、日本国籍をもちながらも、海外生活が長く、早急な日本への帰国予定がない、もしくはシンガポールに永住する子供たちを主な対象とした、日本語と文化の両面から学ぶことを目的とした学校です。
さまざまな環境の子どもたちにあった学びの場を提供するため、日本語文化継承学校はさまざまなコースを開催しています。
詳しくは、ホームページへ
日本語文化継承学校の日本語教師募集
継承学校は、継承語として日本語を学ぶ子どもたちを応援する学校です。
一緒にそういった子どもたちを指導してくださる教員を募集しています。
詳細を知りたい方は、sjkeisho@yahoo.co.jp にご連絡ください。
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