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日本の小学校からイギリスのボーディングスクールへ転入 | 保護者が語る『選んでよかった理由』と『覚悟』

●話し手
イギリスのボーディングスクール在校生の保護者
長女(12歳)が小学校低学年時に日本の小学校から転入

※インタビュー当時

●ボーディングスクールとは?

寄宿学校の事を指します。世界には国際的な認定や認証を有する「ボーディングスクール」が約300校存在しています。この数は、英語公用語、全寮制教育、男女共学、かつIB認定校(教育課程)の数です。IB以外にも高等学校教育課程を認定する機関にはCISやWASCが存在するので、もう少し条件を広げたとして600校程度です。

目次

1.「みんなと同じ」への違和感から。ボーディングスクールという選択肢に出会うまで

Q.なぜ海外のボーディングスクールを選択されたのですか?

A.長女に合っている学校がどこかと考えた際に、海外のボーディングスクールが選択肢の一つになりました。

インターナショナル系列の幼稚園に通っていた際に、ボーディングスクールの説明会に参加し、その際に「こんな世界があるのか!」と興味を持つようになりました。

当時は小学校受験の準備期間で、一斉教育・一貫教育というスタイルが、本当にわが子に合っているのか疑問をもっていた時期でした。そのような経緯もあって、多様な価値観が認められるボーディングスクールに魅力を感じました。

また、当時習っていたヴァイオリンやバレエも、ボーディングスクールなら校内で完結できるところも良いなと感じたポイントです。

しかし、幼稚園生の時は、まだまだボーディングスクールへの情報量が少なかったのと、やはり小学校受験の準備中だったため、決断するまでには至らず、合格をいただいた小学校に入学しました。

Q.ボーディングスクールへの転入をご決断されたタイミングは?

A.小学校に入学し生活する中で、人間性を高めていけるような環境の方がわが子に合っていると感じるようになったためです。入学した小学校は「みんなが赤を選んだら赤を選びましょう」のような、個人の人間性ではなく集団での過ごし方に重きが置かれていました。

幼稚園の時に薄っすらと感じていた疑問が、入学後は明確化し、元々興味のあったボーディングスクールの情報を少しずつ収集するようになりました。

2.情報は自分の足で集める。後悔しないエージェント選びのポイント

Q.受験の情報が少ないと思うのですが、どのように集めましたか?

A.とにかく自分の足を使って様々なエージェントと会ったり、情報量を増やせるように行動しました。中には、正しくない情報を伝える・デメリットは話してくれないエージェントもいたので、全て鵜呑みにせず、保護者がしっかり考えることが大切だと思います。

Q.エージェントは受験に向けてどのようなことをしてくれますか?

A.最初はヒアリングシートにわが子の情報を記入し、エージェントが合っていそうな学校の候補を見つけてくれます。志望校が決まれば合格に向けて対策のサポートもしてくれます。

エージェントは入学後もサポートをしてくれるので、ご家庭との相性をしっかり吟味して決めた方がいいと思います。

Q.どのようなエージェントがおすすめですか?

A.子どもの幸せを深く考えてくれるエージェントが良いと思います。中には正しい情報を教えてくれないエージェントや、ビジネス思考で利益重視のエージェントもいらっしゃいます。会話を通して「本当にわが子の幸せを考えてくれているのか?」は重視したほうがいいと思います。

我が家では、東京にオフィスがあり、イギリス留学を専門に長い歴史のある会社の方にお任せをしています。ご家庭との相性を考え、様々なエージェントと比較されることをおすすめします。

3.英語力より大切なのは「落ち着いて話す力」。受験対策と学校選びの決め手

Q.受験する上で英語力は必須ですか?

A.いいえ、同年代のネイティブレベルの英語力は必要ないかなと思います。しかし、受験自体が英語ですので、完璧でなくても基本的な受け答えが出来たり、多少英語を読める程度の英語力は必要だと思います。

Q.インターナショナル系列の幼稚園の方がいいですか?

A.幼稚園もインターナショナル系列は必須ではないと感じています。お子さまに合わせた幼稚園で問題ないと思います。

Q.受験の内容と合否について

A.CAT4の提出とインタビュー(面接)がありました。インタビュー時は、英語力以上に、不機嫌にならないか?落ち着いてお話ができるか?を見られていました。

エージェントのサポートを受けながら対策をし、長時間でも落ち着いてお話ができる力は身に着けておいた方がいいと思います。3校受験し、全て合格をいただきました。

Q.進学先はどのような理由で決めましたか?

A.その中から現在の学校を選んだ大きな理由は、学校側の細やかな対応とアットホームな雰囲気を感じたためです。200人に満たない小規模な学校で、歓迎してもらえたことが印象的でした。

連絡への返信も早く、細かな部分まで丁寧に対応してくれたことにも好印象で、アットホームな雰囲気も家庭にも合っていると思いました。

学校の校訓である「努力すると輝く」という考え方が、家庭の教育方針とも近かったです。現在、娘も楽しそうに通っていることから、この学校を選んで良かったと感じています。

4.最大の壁はホームシック。遠く離れた親子が乗り越えるまで

Q.入学後どのような壁にぶつかりましたか?

A.ホームシックが一番大きな壁でした。1年目は日本に帰国しイギリスに戻る際は、我慢強い性格ですが「行きたくない」と落ち込んでいました。2年目は「(ご家族と)お別れがいや」と話していました。

Q.遠く離れた日本から、お子さんをどのようにサポートしましたか?

A.正直なところ最初はサポートをすることがとても難しかったです。学校とのコミュニケーションやサポートでは、エージェントを介する場面も多く、意思疎通が上手くいかないこともありました。

また、基本的に週に1度30分の電話で会話ができるのですが、弱音をはくことが苦手だったため、短い時間の中でわが子も心の内を全て話すことは難しかったです。留学前から、自分の気持ちや「つらい」「寂しい」などの弱音を言葉にして伝えられるようにしておくことが大切だと思います。

日本の教育では、どうしても「泣いたらダメ」「我慢して」と教えることが多くあります。強くていい子に育つけど、気持ちを表現することが苦手な子になりがちです。

悲しいことを上手く伝えられるようになれたら、親子のコミュニケーションを密に取れることに繋がるし、ホームシックもより早く乗り越えられるのではないかと感じています。

「自分の気持ちを表現する力」は、留学前に身につけておきたかったことの一つです。

Q.保護者からのサポートが難しい環境で、どのようにホームシックを乗り越えられましたか?

A.学校のサポートと人間性豊かなお友達の力が大きかったと思います。学校では先生が一人一人の様子をよく見ていて、些細な変化や悩みに気がついてくれます。心理カウンセラーの先生とお話も気軽にできる環境で、自分の感情を言葉にして表現する練習し、思っていることを伝えられるようになりました。

一緒に過ごすお友達の力も大きいです。母国語が英語ではないヨーロッパの各国から短期留学しているお友達もいて、困っているお友達がいた際にわが子がサポートをし、仲良くなることも多かったです。

今では短期留学のお友達が帰国する際には悲しみ、長期休みで日本に帰国した際は「早くお友達に会いたいから戻りたい!」と話しています。

5.期待以上だった。入学して気づいたボーディングスクールの3つの魅力

Q.英語のサポートはどれくらい受けられますか?

A.丁寧なサポートを受けることができます。EALの先生が長期的にサポートに入ってくれるので、どんどん上達していると感じます。

インターナショナル系列の幼稚園出身ではありますが、元々英語が上手く話せるわけではありませんでした。しかし、入学後は発音や日常会話の細かいところまで先生が見ていて、しっかりと教えてくれます。

日本国内では、ここまで手厚いサポートを受けるのは難しいと思いますので、英語力がどんどん上がっていることは大きな魅力です。

学校にもよりますが、母国語を大切にしてくれるボーディングスクールで、英語を伸ばしながらも、日本語も大切にできます。

Q.実際入学してみてどのような魅力がありましたか?

A.入学前に期待していた以上の魅力があると感じています。

1つめは、「1人1人に合った学びがあること」です。

基本的にイギリスでは、個人の性格に合わせた関わりを教育現場で実践しています。ボーディングスクールでは、加えて「興味のある分野をどんどん深めていける環境」があります。

わが子は、読書やダンス・アートが好きで、関連したサポートやアドバイスを先生から受けることができ、好きを伸ばしてくれます。算数が好きなら算数を、スポーツが好きならスポーツを、それぞれ伸ばしてくれるような環境があります。

2つ目は、「人生において大切な学びと経験ができること」です。

特に「休み方を学べる時間」があることには驚きました。のんびり休むための空間があり、自分に合った休み方を知ることができます。日本でも生きる上で大切なことではあるけど、学ぶ機会はなかなかありません。

授業だけでなく、食事、睡眠、生活リズム、人間関係など、日々の生活そのものを学校側が見ており、その子がどんな子なのかを学校側が深く理解してきめ細かなサポートを受けられます。

3つ目は、「人間力を高めていける環境があること」です。

元々インターナショナル系列の幼稚園に通っていたので多様性への理解は合った方ですが、入学後理解は深まったと感じます。相手の立場を考えたうえで、自分の気持ちを伝える力が身についてきています。

勉強の成績だけではなく、学校生活の中での行動や人間性も評価してくれます。

例えば、普段の生活の中でゴミ拾いをしていた、といった行動も評価の対象になります。人の目を気にして一斉に同じ方向へ進むことよりも、一人ひとりの人間力を育てることが、結果的にその子の才能や強みにつながると感じています。

6.「努力すればできる」という自信。12歳の成長と、保護者に伝えたい覚悟

Q.現在12歳になられて、転入当初と比べてお子さんにどのような成長や変化を一番強く感じますか?

一番は自信ですかね。努力すれば、自分はできるんだという自信です。特に、シニアスクール受験の過程を経て諦めずに努力している姿を見て、成長を感じました。

そして、本当の友達ができました。人種の多様性や寮生活、発達特性の子が当たり前のようにいる環境で過ごすうちに、周りの友達を尊重し思いやりが深くなったと感じています。どんな環境でも生きていける強さを持てたと感じています。

しかし良いことばかりではありません。「本人や先生・周りの知人のお話」から、わが子の成長を感じ取ることも多いです。要するに、わが子の成長を目の前で見ることができないことが多々あります。

そして、「お話で聞くわが子の姿」と「自分の目で見るわが子の姿」が、何となく違うかもと思うこともあります。また、多様性への理解は深まっていますが、比べる必要のないことで自分とお友達を比べてしまうことも。

ボーディングスクールでしか得られない経験・大きな成長もあります。しかし良い面だけではないことや、保護者もある程度覚悟が必要だと、私は考えています。

Q.最後に、これからボーディングスクールを検討されている、あるいは迷われている保護者の方へアドバイスをお願いします。

A.視野を広く持ち、自分で情報を集められるご家庭はボーディングスクールに向いていると感じます。最初から決めてかかるのではなく、教育の選択肢の一つとしてフラットに考えてみてください。

わが家では、日本・イギリス両方の小学校に通ったからこそ、どちらの方がいいかではなく、どちらも良さがあると感じています。

大切なのは、エージェントの情報だけに頼らず、ご自身で学校を調べ、直接問い合わせることです。振り返ると「自分でもっと直接連絡を取れたな」と感じることも多く、実際にやり取りしてみると、学校側は想像以上に柔軟に対応してくれることが分かりました。

子どもの性格や適性を考えて、本当の幸せを考えた先の学校を選ぶことが大切だと考えています。

【編集後記】

まだ幼い時期にお子さんを海外へ送り出すことには、計り知れない不安や葛藤があったことと思います。しかし、親御さんご自身が自ら情報を取りに行き、学校と直接コミュニケーションをとることで、お子さんにとって最良の環境を切り拓いてこられた姿勢が非常に印象的でした。

ボーディングスクールは決して遠い世界のものではなく、教育の選択肢の一つです。今回のインタビューが、お子さんの進路に悩む保護者の皆様にとって、新しい一歩を踏み出すためのヒントになれば幸いです。


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