【連載第3回 Aレベルとは?】AレベルJapaneseを受験するメリットは?
磯崎みどりです。夏休みが明け、多くのインター校では新しい学年が始まりましたね。そんな時期だからこそ、家庭で子どもに続けさせてきた日本語学習はこの後どのように続けて行ったらいいか、続けた先にはどんなふうにインター校での学習につなげられるかなどを考えるご家庭もあるのではないかと思います。今回は私が日本語を指導しているTanglin Trust SchoolのAレベルJapaneseについて書いていきたいと思います。
Tanglin Trust Schoolにおける日本語の授業とは?
第2回にも書きましたが、母語としてのGCSEレベルの日本語テストはすでに終了していますが、GCSEレベルでも外国語としての日本語テストは残されているため、Tanglin Trust Schoolでは、日本語を言語の一つとして選択しようと考える場合、Senior Schoolの学年になった時点(Y7 日本の学齢では小学6年生か中学1年生)で、GCSE準備クラスに参加することができます。GCSE, Aレベルのテストは、自分で準備ができていると考えれば、学年に関係なく受験することが可能なのです。
ただし、GCSEは本来ならY11(日本の学齢では中学3年生か高校1年生)に受験するテストのため、Y8年より早い受験はおすすめしていません。その理由は、次に続くAレベルの日本語テストは、Y12(Six Form一年目、卒業の一年前の学年 日本の学齢では高校2年生)より早く受験をすると、大学受験の際に結果を提出してもあまりインパクトを与えられない可能性があるためです。
それでも、他の科目のテストをY13(Six Form二年目 高校最終学年 日本の学齢では高校3年生)で受験するので、一年早く日本語のテストを受験しておくことができるのは、生徒にとって一科目の結果を手中に収めておくことができるので、安心材料となります。
まとめると、Y9, 10にGCSE Japaneseを受験し、Y12にAレベルJapaneseの受験をすることが一番のおすすめです。
AレベルJapaneseを受験することのメリットとは?
そもそも、AレベルJapaneseを受験することには、どんなメリットがあるのでしょうか。Tanglin Trust Schoolでは、GCSE JapaneseもAレベルJapaneseもどちらも授業料の中に含まれている科目ではなく、Extraの費用を支払う必要があることから、費用面での負担はご家族が事前に知っておくべきことです。第一回のTanglin Trust Schoolからの報告、アカデミック面の説明の中で「追加言語」となっている言語すべてにあてはまります。Aレベルには必須科目はなく、大学進学に必要とされるのが3科目で、時間をかけて専門的な知識を身につけていける学びが特徴です。
そんな中、費用負担があっても、特にAレベルJapaneseを第4科目として選択するメリットとしては、日本語テストでA*またはAを取得できれば、それが大学受験を有利にすることがあることです。第2回でAレベルJapaneseの具体的な内容について詳しく説明した通り、決して侮れない内容ではあり、A*(90%以上の正解率)を取得するのは簡単ではありませんが、A(80%以上90%未満)を取得できれば、他3科目の成績のうち、A*を必要としているところをAしか取得できなかった時の補いになることがあるなど、メリットになりうると聞いています。GCSEレベルまで日本語を継続して学習して来た生徒であれば、AレベルJapaneseの成績でAを取ることは夢ではないレベルですので、ぜひ選択肢として考えて見られるといいと思います。
実際、今までに指導した生徒が、AレベルJapaneseを選択して、A*もしくはAを取得したことで、大学入試を有利に進めてきた生徒もいます。また、シンガポールにおいて一番の成績を収め、表彰された生徒もいます。私自身も好成績の生徒をこれまでにも多く輩出した教師として表彰式に参加しています。
まとめ
AレベルJapaneseは、初級日本語レベルであるGCSE Japaneseのテスト内容からは想像できないほど、一気にレベルアップする内容を問われますが、それでも、IB Japanese Aよりはとっつきやすい内容です。小学国語レベルまで日本語を学習してきた生徒には、チャレンジしてみてほしいテストです。
次回は、またAレベル全般に戻って、IBにするか、Aレベルにするかを迷っている方々のために、ちょっとした指針を書いてみたいと思います。
磯崎みどり氏ご紹介
継承日本語指導者として、20年以上の実績を誇り、アメリカコロンビア大学大学院で継承語について研究、修士課程を修了。
アメリカ、シンガポールの補習校指導を皮きりに、現在シンガポール日本語文化継承学校校長。また、IBDP認定指導員として、日本語文学(Japanese A Literature)を指導。シンガポールではAIS(オーストラリアンインターナショナルスクール)でIBDP日本語文学、IGCSE相当の母語日本語、Tanglin Trust SchoolでGCSE、A Level日本語を指導。その他、Marlbourough College (Malaysia)のIB Japanese A LiteratureのSSST (School Supported Self Taught)を指導。
英語指導については、シンガポール日本人学校中学部の英会話クラス講師、早稲田渋谷シンガポール校英語教員を歴任。
自身がマルチリンガルの娘を育て上げた母親の一人。
日本語文化継承学校は、日本国籍をもちながらも、海外生活が長く、早急な日本への帰国予定がない、もしくはシンガポールに永住する子供たちを主な対象とした、日本語と文化の両面から学ぶことを目的とした学校です。さまざまな環境の子どもたちにあった学びの場を提供するため、日本語文化継承学校はさまざまなコースを開催しています。
詳しくは、ホームページへ
日本語文化継承学校の日本語教師募集
継承学校は、継承語として日本語を学ぶ子どもたちを応援する学校です。
一緒にそういった子どもたちを指導してくださる教員を募集しています。
詳細を知りたい方は、sjkeisho@yahoo.co.jp にご連絡ください。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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