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ICT教育とは?ICT教育のメリット・デメリット・海外のICT教育もご紹介!

「ICT教育」はこれからの時代を生きる子どもたちにとって必要不可欠な知識と技術です。各国でどんどん加速するICT教育。世界の教育の現場に、実際にどのように取り入れられ、どのような成果をあげているのかをメリット、デメリットとともに検証します。

ICT教育とは?

ICT教育とはいったいどういった教育のことを指すのでしょうか?

ICTの語源は「Information and Communication Technology」(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の頭文字を指しており、その意味は「情報通信技術」と訳されます。

「Information Technology(情報技術)」である「IT」という言葉は以前からよく目や耳にすることがありなじみがありますが、ICTはさらに、そこにコミュニケーションツールとしての活用や、人と人との繋がりを支えることに重きを置いた概念です。

タブレットなどの電子機器を使用し、その操作や有効な活用方法を学んだり、それを用いて画像や動画などを授業に取り入れ、さまざまな面から子どもたちの授業への好奇心と意欲を刺激する新しい授業の形です。

ICT教育のメリットは?

今、世界で急速に普及しているICT教育。多くの教育機関でどんどん採用されている理由として、そこにはさまざまなメリットが存在しています。

授業の幅が広がる

対面の授業がメインだった今までと比べ、ICT教育が普及してからの授業の幅は大きな広がりを見せています。遠隔でも使えるビデオ会議機能を使って、離れた場所からでも授業の受講が可能になりました。また、外国の講師とオンライン上で繋がれば、顔を見ながら英語などの外国語の授業を受けることもできます。

生徒のモチベーション向上

ICT教育では、画像や動画を活用しながら授業を進めることで、伝わりやすさが格段に変わります。生徒も教員も同じ画面を共有できるため、イメージもしやすく、自らタブレットなどの電子機器を使用しながら課題と繋がることで、主体的に授業に取り掛かることができるので学習意欲がわきやすくなります。授業への好奇心や探求心を深めることに必要な「理解」や「発見」を生徒自身が手応えとして感じられ、授業へのモチベーションが高まります。

自宅からも授業に参加できる

インターネットの環境が整っていれば、自宅からも授業への参加ができるのも大きなメリットです。怪我や悪天候、家庭の事情などで通学が困難な場合でも、オンラインで授業を繋げることであらゆる場所で授業を受けられます。

また、それぞれが安心できる環境で授業を受けられることによって、しっかりと授業に集中もでき、結果的に勉強への意欲や効率が高くなります。

生徒の能力に応じた適切な指導

同じ授業を受けていても、どこでつまずくかはそれぞれの生徒によって異なります。学習アプリなどの活用によって、自主学習でつまずいた箇所にさかのぼって学習することや、教員から各生徒の能力に応じて適切な課題を与えることが可能になります。

授業中に「わからない」と発言することを恥ずかしいと感じる生徒が、そのまま授業についていけなくなり意欲をなくしてしまうことがなくなり、個々の学習能力と意欲の底上げが期待できます。

先生の業務負担が軽減

ICT教育の普及によって、授業を準備し、行う側の教員の業務負担も軽減されつつあります。データの共有で授業が進められるので、プリントの準備や板書の必要がなくなり、授業内外の時間を効率的に活用できるようになりました。また、教員同士の授業情報の共有もデータ間で可能になり、作業時間の短縮に繋がります。

ICT教育のデメリットは?

メリットがたくさんあるICT教育ですが、デメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか?

ICT教育導入のコスト

ICT教育の導入では、タブレットなどの電子機器の購入の負担が避けられません。教育機関側、保護者側がともに理解、納得して導入する必要があります。また、電子機器ですので、故障した際の修理費なども費用がその都度発生します。

トラブルやセキュリティ面

昨今、個人情報漏洩や保護者の知らないうちに子どもがアプリに課金してしまった…など、子どものSNSの扱いでのトラブルは少なくありません。ICT教育の普及によって、子どもの電子機器の操作、インターネット利用がどうしても増えていく中、その使い方をずっと監視しているわけにもいきません。

知らないうちにトラブルになる・・・を防ぐには、やはりインターネットを扱う子ども自身に、しっかりとパスワードの必要性、重要性や管理方法、万が一個人情報が漏洩した場合のリスクなどの理解を深めて、事前にインターネット上でのマナーであるネットリテラシーを学ぶことが大切です。

書く力の低下

タブレットやパソコンなど、変換ボタンを押せばすぐに漢字が出てくる電子機器は非常に便利です。しかし、漢字の読み書きや文章の作成力がきちんと身につく前に変換ボタンに慣れてしまうことは、書く力の低下や表現力、記述力の低下に繋がります。手書きで書き込めるタイプのタブレットの活用など、他の教材でバランスをとりながらのICT教育の導入がおすすめです。

想像力や自ら考える力の低下

知りたいことがあれば検索タブですぐに答えが出てくる便利さがある一方、すぐに答えに辿りつけることで、想像力を働かせたり自ら考える時間が短縮されがちになってしまいます。時には、答えに辿りつくまでの過程が応用力に繋がりますので、ICT教育を上手に活用したうえで、想像力を働かせる時間もしっかりと確保し、自らで考える習慣をつけていくことも必要です。

ICT教育の指導力の保持

上手に活用すれば生徒にも教員にもメリットの大きいICT機器ですが、まだ普及してきたばかりのICT教育において、指導する教員自体がICT教育を受けて学んできたというケースは未だ多くはありません。生徒の興味を引き出し、学習に対して意欲を沸かせるためには、ただ電子機器を使うのではなく、画像や動画の見せ方やタイミング、授業の進め方への工夫が大切です。授業を提供する側の教員側もICT教育の活かし方を学びながら、その指導力を上げるために努めていく必要があります。

ICT教育の活用事例は?

実際にはどのように授業に取り入れられているのでしょうか?授業を受ける子どもの年齢によってのICT教育の進め方の違いや、実際に教育現場で行われている活用方法を比べてみましょう。

小学校

視覚からの情報に興味を持ちやすい小学生の授業では、火山の噴火や月の表面などの映像を、プロジェクターで大きく映し出すことによって、子どもたちの好奇心を引き付けることができます。平面的な写真で見るよりも、よりリアリティを持たせることができるので、驚きや感動を子どもたちに与えやすくなり、学習意欲の向上に繋がります。

国語の授業では、漢字の成り立ちを動画などのアニメーションで学ぶこともでき、楽しみながら漢字の書き順や意味を理解することができます。ICT教育の活用によって、学びの土台となる子どもたちの好奇心や探求心を育てる授業の進め方が実現しています。

中学校

中学校では、与えられた課題に応じて適切なアプリケーションを自分で選択し、操作しながら個人やグループで取り組み、改善しながら取り組める授業の構成が実施されています。数学では、数学ソフトを使用した比例のグラフ作成をもとに、反比例のグラフの特徴を調べ、変化の様子を視覚的に捉えることができます。ICT教育を駆使し、表、式、グラフを相互に関連付けながら、気づき、そして変化を捉えることのできる力を育てています。

高校

高校では、情報機器を道具として有効に使いこなす力を身に着け、それらを使って対話や情報発信に繋げる力を育てています。教室に最新型のIWB(電子黒板)を設置し、プロジェクターによって大画面で分かりやすく、効率の良い授業を組み立てるだけではなく、生徒同士の学びの共有やプレゼンテーションとして活用する機会を多く設け、主体的に授業に取り組める体制が整えられています。ICT教育を通して、言語や知識、情報を活用する力、集団の中で人間関係を形成する力、自分で選び、行動する力を育て、伸ばす教育がなされています。

海外でのICT教育

ICT教育の取り組み方やそのサポートは国ごとにさまざまです。

アメリカ

アメリカでは2014年から、オープン教育リソース開発支援プログラムが複数の州と公的支援、非営利団体、事業者の連携で進められており、デジタル教科書の編集や作成がされています。ICT教育の特徴的な活用方法として、アメリカでは「全米教材アクセスセンター」を設置しており、そこに登録されたメディア制作者等が、センターに保管されている教科書や教材の電子ファイルを点字、デジタルオーディオ教材、拡大印刷等の形式に加工や編集し、州や専門団体を通して障害などを持つ子どもたちに提供しています。
参考:文部科学省

シンガポール

シンガポールでは、2013年には学校のインターネットは完全に整備され、すべての家庭、事業所、公的機関、学校、病院等に光ファイバーネットワークが整備されました。ICT教育の中で活用される教材やコンテンツは、教育省が開発、または民間から選定し購入したものを教員が使用できるようになっています。また、すべての学校にICT担当職員と技術者が配置されており、教員がICT教育における授業の組み立て方や電子機器の操作方法の相談ができるようになっています。
参考:文部科学省

オーストラリア(クイーンズランド州)

連邦政府・州政府の共同で「Digital Education Revolution」というICT教育推進プログラムが発足され、2013年までには14~17歳の公立・私立の全生徒が1人1台の教育用パソコンを使用できる環境が整えられました。ICT教育に積極的な政府は、民間との連携によって国内のすべての家庭と事業所からブロードバンドへのアクセスを可能にする環境整備を進めており、政府出資の企業が管理するプラットフォームの整備にも力を入れています。
参考:文部科学省

デンマーク

デンマークでは、ICT教育に使用するデジタル教科書の質を保証するために、各教科の専門家団体がそのリソースを作成しています。また、ICT教育を生徒に提供するにあたって、教員の職能開発の短期コースが提供されたり、ICT活用研修を行ったりと、常に質の良い教育を施すための環境整備が特徴的です。「Uni-Login」という個人単位のデジタルIDが整備され、子どもたちと教員、保護者と学校がそれぞれデジタル教科書を無償で利用できるシステムが作られています。
参考:文部科学省

ICT教育を上手に活用して広がる未来

国によってICT教育の導入、普及の仕方はさまざまですが、デジタル社会を生きる子どもたちにとってICT教育、デジタル機器を使い、こなし、活用していく力を身に着けることはとても大切で必要なことです。それと同時に、教育者や保護者もどんどん情報をアップデートして質の良い教育の現場を整えることも大事ですね。時代や子どもにあわせて、ICT教育をバランスよく取り入れ、各々の強みを活かす教育に今後も期待が高まります。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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