【最新】帰国生入試以外の選択肢!国際生入試・グローバル入試とは?~帰国子女入試の条件にあてはまらないケースの中学受験~
2024年、東京都では帰国生入試の条件が厳格化し、海外経験があっても帰国生入試の資格にあてはまらないケースが増えています。しかし一方で、日本国内外で多文化的な経験や英語力を持つ生徒を対象とした「国際性入試」や「グローバル入試」が多くの学校で導入されています。本記事では、帰国生入試の対象外となる生徒におすすめの入試や傾向をご紹介します。
帰国生入試の変化
2024年度より、東京都では、私立中学校の帰国生入試の基準が厳格化されました。帰国生入試の出願資格は明確に「海外滞在1年以上、帰国後3年以内」となります。本来、帰国生入試とは、「保護者の海外赴任に同行した子どもが、帰国後に教育を受ける場を確保する」という趣旨で行われているものでした。
しかし、近年では国内インターナショナルスクール生や、英語が得意で海外に居住経験のないお子さまも「帰国子女入試」の資格が与えられることがあったため、改めて厳格なルールが設定されることとなりました。
しかし一方で、帰国生入試の出願資格には該当しないものの、英語力や国際経験を入学後に活かしてほしいと考える学校は多くあります。そのような学校ではグローバル入試や国際生入試など、多様な形式の入試を提供しています。
国際生入試/グローバル入試とは
◆帰国生入試との違い
<帰国生入試>
◎対象者 一般に、「海外滞在1年以上、帰国後3年以内」、現地の教育環境で学んだ経験を持つ帰国生。 主に親の海外赴任や留学に伴って海外生活をした児童。 ◎特徴 帰国生特有の教育背景や経験に配慮した入試。 日本国内の一般的な中学受験よりも柔軟な試験内容が設定されていることが多い。 |
<国際生・グローバル入試>
◎対象者 帰国生以外でも、国際的な教育環境や経験を持つ児童全般。 海外経験のない児童も含まれる場合がある(例: インターナショナルスクール卒業生、国内で高度な英語教育を受けた生徒)。 外国籍の児童も対象となることが多い。 ◎特徴 「グローバル人材」や「国際性」を評価し、帰国生に限定されない幅広い国際的背景を持つ生徒が対象。英語力や論理的思考力など、将来の国際社会で活躍する能力を重視する傾向がある。 |
帰国生入試は受けられないけれども、下記のような条件に当てはまるお子さまは、ぜひグローバル入試や国際生入試を実施している学校を検討されてはいかがでしょうか。
▪幼少期のみ海外で生活し、その後日本の学校に通っている
▪帰国時期が小学校低学年で、帰国生入試の条件を満たさない
▪国内のインターナショナルスクールに通っている
▪外国籍の生徒
項目 | 帰国生入試 | 国際生・グローバル入試 |
対象者 | 海外生活経験を持つ帰国生(海外滞在1年以上、帰国後3年以内) | 国際的な教育を受けた生徒(帰国生を含む) |
海外経験の有無 | 必須 | 必須でない場合もある |
英語力評価 | 英語試験あり、生活経験としての英語力も評価 | 英語力を最重視(資格や試験で詳細に評価) |
日本語学力試験 | 必須の場合が多い | 必須でない場合もある |
目的 | 帰国生の柔軟な受け入れと適応支援 | グローバル人材育成、多文化共生の推進 |
◆国際生入試/グローバル入試で求められること
帰国生入試は、貴重な海外生活経験を持つ児童の入学を目的とした入試です。基礎学力試験が重視される一方で、英語力や海外経験も評価対象になります。
国際生・グローバル入試は、帰国生に限らず、国際的視野や英語力、リーダーシップを持つ児童を対象にしており、英語力や論理的思考、国際的な感性が大きな評価軸となります。
学校によって使われる用語や具体的な試験内容は異なるため、お子さんの適性や経験に合わせて、どちらの入試がより合っているかを見極めることが重要です。
◆国際生入試/グローバル入試の試験内容
一般に、国内で英語を学習し、一定の英語力のある方や国内インターナショナルスクール出身の方、海外在留歴の有無に関わらずに実施されています。学校によってさまざまな形態や名称(グローバル入試や国際生入試、英語入試など)で実施されています。最新の情報は学校HPでご確認下さい。
①複数の科目を活用した入試 国語・算数・英語の3教科や、国語と算数の2科目、英語もしくは日本語の作文、面接試験など学校によってさまざまです。 ②英語のみ入試 英語1科目の筆記試験のみ、あるいは筆記試験と面接などの組み合わせ、リスニング・ライティング・スピーキング力を評価するケースが主流です。また、年々入試形態が多様化するため、「インタビュー形式」を採用している学校も増えてきています。 ③英語資格を活用した入試 英語選択入試を導入している学校では、受験資格を「英検3級以上」と設定、もしくは「英検2〜3級以上保持者」については英語の試験が免除されるなど、英語資格を評価対象としています。また、英語資格を持っていることで点数に応じて筆記試験に加点されるケースもあります。 |
最近では、難関校も「筆記科目入試+英語資格入試」などを導入し始め、各学校がグローバル化や進学実績の向上を求めて英語ができる生徒を積極的に受け入れる傾向が伺えます。
国際生入試/グローバル入試のメリットとデメリット
◆メリット
▪英語力や国際経験を直接評価してもらえる ▪帰国生入試の条件に縛られない ▪一般入試と比べて競争率が低い可能性がある |
例えば、一般的に中学受験を目指すお子さまが塾に通い始める学年(4年生)以降に帰国した帰国子女で、帰国生入試の受験にあてはまらない場合は、一般科目に加えて英語で加点がある入試形態などを受験することができます。
そうすることで、受験勉強の開始時期が一般よりも遅くなった勉強量を無理に補う必要もなく、お子さまのストレスが少なく受験に向かうことができます。
◆デメリット
▪入学後、日本語や他教科の学習に苦労する可能性がある ▪入試の種類が多く、情報収集が大変 ▪学校によっては募集人数が少ない |
入学後の一般入試で入学した生徒との学力差を心配する保護者は多いものですが、積極的に国際生を受け入れている学校はグローバル入試や国際入試で入学した生徒に対してもサポートが手厚い場合もあります。
また、募集人数の少なさについても、学校側が他の入試形態を用意して併願を認めるなどの配慮がされていることがあり、一概にデメリットと言い切ることはできない実態です。
国際生入試/グローバル入試の対策方法は?
◆英語力の強化
志望校を決めたら入試形態を確認し、そこに合った英語の対策をしていくことが必要です。英語資格試験の受験、英語でのエッセイやプレゼンテーションの練習など、学校により求められていることを確認しながら進めて行きましょう。英語資格については、入試までに受験できる回数が限られている場合もあるので、早めに受験するようにしておくことをおすすめします。
◆海外生活の振り返り
帰国生入試の受験資格に当てはまらなくとも、海外で生活した帰国生はこれまで自分が得た経験や学びを整理しておきましょう。帰国子女は多様なバックグラウンドを持っており、一人ひとりが全く異なる経験をしています。学校はこのようなお子さま一人ひとりのさまざまな経験や特徴を知りたいと思っているので、面接やプレゼン、エッセイなどで問われることを想定して、国際的な経験におけるアピールポイントを準備しておきましょう。
◆学校研究
どのような学校がグローバル入試や国際生入試などを行っているのか、可能であればオープンキャンパスや学校説明会で情報を入手することが必要です。多種多様な入試となっているため、入試までの期間を見積もり、お子さまの実力が出せる入試形態や科目を見極めることも重要です。
また、過去問題については公開されていない学校もありますが、その場合は実際に学校に問い合わせてみると良いでしょう。「英検3級ほどの難易度です」など、おおよその難易度を教えてもらえる場合もあります。一般入試の過去問を取り寄せ、学校の入試問題との相性を見てみるのも良いでしょう。
◆日本語力の向上
入試では、英語力ももちろん問われますが、入学後は日本語の授業がある学校がほとんどで、入試面接に日本語の面接が課される学校もあります。日頃から正しい日本語を身につけられるよう、読書や、日本の時事問題へ関心を持つなど、英語力と同様に日本語力も維持しておくようにしましょう。
今後も増加が見込まれる国際生入試やグローバル入試
2024年より東京都では帰国生入試のルールが厳格化され、帰国生にもかかわらず、帰国生入試を受験できないお子さまが出てきています。しかし、多くの学校は日本のグローバル化を見据えて国際的な視点を持った人材、英語が得意な人材を積極的に受け入れています。そのため「帰国生入試」という入試形態ではなく、「国際性入試/グローバル入試」という国際経験や英語力を重視した入試形態が設けられている学校が増加しています。
まだ導入して間もない学校もあり、十分な対策の情報が得られない場合もありますが、学校側は受け入れには前向きなため、不明な点は学校に直接質問するなどして準備していきましょう。また、必要に応じて国際入試に詳しい塾や家庭教師などのサポートを得ることも重要です。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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