海外大学に通う帰国子女現役大学生の体験談
日本人学校・日本の私立校・インター校での経験 IB満点を取得した勉強法も伺いました!
シンガポール日本人学生会NiSCにご協力頂き、シンガポール国立大学 Business Schoolに通う現役大学生を取材しました。日本人学校・日本の中学高等学校で得たもの、インター校で感じた壁、IBを満点で修了した勉強方法など、これまでの経験を幅広く伺いました。帰国生の皆さまにとって貴重な体験談です!ぜひ最後までご覧ください。
お話を伺った三ツ井さんのご紹介
今回お話を伺ったのは、シンガポール国立大学 Business School 3年生の三ツ井さんです。小学校時代に香港とシンガポールの日本人学校に通ったのち、中学受験(一般入試)をして豊島岡女子学園中学校・高等学校に進学しました。
その後、高校2年時にお父様の赴任に伴いベトナムのインター校に転校。2年間の猛勉強を経て45/45の満点でIBDPを修了しました。卒業後は、シンガポール国立大学 Business Schoolに進学し、マーケティングを専攻しています。3年間の中国語の自学自習の末、現在は北京大学にて交換留学中です。
小学校時代
◆香港とシンガポールで日本人学校を選んだ理由や思い出は?
父はインター校に通わせたいと思っていましたが、私自身が兄と同じ日本人学校に通いたいと猛反発。自分で英語の勉強をするという約束のもと、日本人学校への進学を許可してもらいました。日本人学校では友だちとの出会いが多く、毎年違う友だちができたことが嬉しかったです。今でも連絡を取り合っている友だちが多くいます。
シンガポール日本人学校(チャンギ校)は、香港の日本人学校よりも英語教育に力を入れていました。当時は少なくとも13段階のレベルに分かれており、一番上のクラスは宿題も多く、今思い返しても非常にレベルの高い授業でした。
日本人学校生活で大変だったことや悩んだことは特にありませんでした。香港に渡航する前は、日本に5年間しか暮らしていなかったことや、両親が文化の違いを楽しみながら過ごしていたため、特にネガティブなカルチャーショックを感じたことはなかったです。
◆香港とシンガポール生活で得た人生の軸
香港で暮らしていた時は毎週末のように家族でBBQをしたり、シンガポールから父と二人で周辺の東南アジア諸国に旅行に行ったりと、家族と一緒に過ごす時間がたくさんあったことが思い出に残っています。
また、香港とシンガポール生活では、文化の違いを楽しむことを学びました。香港とシンガポールで暮らした7年間で培った東南アジア人へのリスペクトは、大学進学時やキャリア選択の大きな軸になっています。
中・高校時代
◆中学受験校選びで重視したこと・受験対策は?
私は負けず嫌いだったので、都内トップと言われる桜蔭中学校・高等学校と豊島岡女子学園中学校・高等学校のみを一般入試(国・数・理・社)で受験しました。
受験対策は父が日本出張の際に参考書を買ってきてくれていたので、数学は父と兄、国語は母に指導と採点をしてもらっていました。理科と社会は通信教育(Z会)の教材を使って、自学自習しました。両親が先生というわけではないので、今思い返すと無謀だったかもしれません。
ただ、塾に行かず自宅で受験勉強をしていたことや模試をそれほど頻繁には受けなかったことで、他の受験生と自分を比較しすぎることがなかったため、自信を持って受験に臨むことができたと思います。
◆帰国後日本の中学・高校生活で楽しかったことは?
好奇心が強い学生が多く、友だちと一緒に数多くの課外活動に参加できたことは、とても思い出に残っています。とても素敵な学校で、一時帰国した際には毎回学校の先生方を訪問しています。
◆ベトナムでインター校を選んだ理由とインター校生活
さらに英語力を伸ばしたいという思いから、父の赴任に伴ってベトナムのインター校に行くことに決めました。インター校では、言葉の壁や日本とはまったく違う授業形式、友だち関係などで悩むことが多く、人生で一番苦しい2年間でした。ただ、2年間の猛勉強を経て、45/45の満点でIBDPを修了できたことは本当に達成感がありました。
IBDPで満点を獲得!
◆勉強方法は?
試験対策は早めに準備をすること、そして授業についていくための勉強とは別に、「最終試験に向けた勉強」をすることが重要です。 英語、日本語、歴史、心理学は、最終試験の約4カ月前から自分自身で出題されるだろうと予想したエッセイのトピックを考え、各トピックにエッセイのアウトラインを用意しました。これはとても役に立ったと思います。
私の場合はアウトラインとして、①Thesis statementを含むイントロダクション、②ボディーパラグラフのオープニングセンテンスx3、③結論の3要素を書き出していました。 暗記しておくのはキーワードだけで十分だと思います。
アウトラインをたくさん書く過程で、迅速かつ簡潔に文章を構造化することができるようになりました。また、オンラインで公開されている過去問は、ほとんどすべてに目を通し、過去に出題されていたエッセイのほぼすべてにアウトラインを作りました。
数学と化学は、自分の苦手な分野をしっかりと把握し、過去問の反復練習をすることをおすすめします。またIBDPの試験で使用する計算機(graphic calculator)の使い方に慣れておくことも、大切なポイントです。
◆勉強のモチベーションの保ち方は?
1つ目は、試験日から逆算して適切なスケジュールを立てることです。細かすぎるスケジュールは、計画通り進まず投げやりになってしまいますが、大まかすぎるスケジュールもあまり意味がありません。適度に緊張感を持ち、ある程度の余裕を持って勉強が進められるようなスケジュールを立てることで、モチベーションを保ったまま勉強ができました。
2つ目は、早めに準備を始めることで、心と時間にゆとりを持つことです。私の場合は試験の4~5カ月前までにゆったりと準備を始めたので、試験直前でも中国ドラマを見たり、お出かけしたりするなどリフレッシュする時間を作ることができました。遅めに勉強を始めるメリットはほとんどないと思います。早めに効果的な勉強法を見つけることがおすすめです。
最後になりますが、私はIBDPの満点取得を目指していたわけではなく、満点を取得できると思われていた学生ではありませんでした。実はIBDP取得に必要な最低スコアを取ることができるかさえ不安で、自信もありませんでした。その不安や自信のなさを、努力する原動力に変えることも時間はかかりますが、とても大切な準備の1つであると捉えています。
海外大学へ
◆海外の大学に進学しよう思った理由は?
ベトナムのインター校でIBDPを履修し、海外進学の切符を手に入れたため、海外大学に挑戦してみようと思いました。しかし、ベトナムのインター校生活で経験した大変さをもう一度味わうかもしれないという不安から、最後の最後まで国内の大学に進学するかどうか迷っていました。
◆シンガポールの大学/NUSを選んだ理由は?
シンガポールの大学を選んだ理由は、幼少期の経験から東南アジアの優秀な学生たちと共に学び、ネットワークを構築したいと考えたからです。それだけではなく、東南アジアの経済的なハブであることや英語で教育を受けられることに魅力を感じました。NUSは国際的な認知度の高さから、東南アジアの優秀な学生が集まっている大学だと思います。特に、ビジネススクールの授業は積極的な参加が求められており、自然とプレゼンテーション力やコミュニケーション力が磨かれる授業です。
日本人学校・日本の中高・インター校で学んだこと
日本人学校と日本の学校は、言葉の壁がない分、学力や思考力の向上においては効果的だと思います。インター校に関しては、インター校に入ることで自然と英語力が上がるわけではありません。入学後に、英語力と学力を向上するためには、努力と精神的なスタミナが求められると感じました。実際に、個人の性格やインター校進学時の基礎学力レベルによっては、日本語も英語も思考力も中途半端になってしまう例も耳にするので、インター校への進学にはリスクもあると思います。
海外生活で得たこと
海外生活を通じて、新しい国に行った時や厳しい環境に身を置いた時、すぐにその環境に適応できるようになりました。海外経験を通じて変化や逆境に強くなったためだと思います。また、自分がマイノリティになる経験を通じて、居心地が良くない環境にいても自分らしくいる方法を学びました。これは新社会人として社会に出たときにも、役に立つのではないかと思っています。
帰国生の皆様へメッセージをお願いします
私は大学進学の際に、せっかくIBDPを履修したのに国内の大学に進学するのはもったいない、という考え方を持っていました。海外経験がある人は海外経験を生かして必ず進路を選択しなければならない、というルールはありません。目の前にあるさまざまな選択肢を平等に比較して、「今まではこのようであった」からではなく、「これからこのようになりたい」、という将来に目を向けた視点で進路を選ぶことが大切だと思います。
取材協力:シンガポール日本人学生会 NiSC
2021年5月にシンガポールで学ぶ日本人大学生が運営を開始。発足以来、シンガポールの大学に通う日本人学生のコミュニティ形成やシンガポール国内での異文化交流の促進、日本におけるシンガポールの大学の知名度向上を目標に活動しています。
WEBサイトやInstagramでは、大学受験方法やキャンパスライフ、シンガポールの生活など、NiSCのメンバーの思う「入学前に知りたかったこと」を幅広く発信しています。NUSやシンガポール留学に興味がある方はぜひ活用下さい。また、シンガポールへの渡航・大学進学の相談も可能です。お問い合わせはInstagramのDMよりお待ちしております!
⚫︎記事は執筆時点での情報です。
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