英語圏の国を知ろう!海外留学や受験に活かすための入門ガイド

世界には、英語を公用語や準公用語とする英語圏の国が数多く存在します。本記事では、英語圏の国の留学メリットや受験対策を解説し、最適な留学先を選ぶためのヒントをご紹介します。英語圏への留学計画にお役立てください。
英語圏の国の定義と数
◆英語圏とは何か
「英語圏」とは、行政・教育・ビジネスなどで英語が幅広く使用される地域を指します。しかし、歴史的・文化的背景により、「英語を母語(第一言語)とする国」だけでなく、「第二言語として社会に深く根づいている国」まで含まれるため、厳密な定義は人によって異なります。
イギリスの植民地支配の遺産や、経済・文化のグローバル化が影響し、アジアやアフリカ、中南米など世界各地に英語を公用語や準公用語とする国が存在します。日本でも受験勉強や海外留学を考える際、この「どの国でどんな英語が話されているのか」を把握しておくことは大いに役立ちます。
◆英語を公用語・準公用語とする国の数
英語を公用語あるいは準公用語として採用している国は、国際機関によっては50~60か国前後に上ると言われています。たとえば、フィリピンではタガログ語(フィリピノ語)と英語が公用語、インドでも中央政府レベルでヒンディー語と英語が共通語とされています。ただし、英語が「法的に公用語」でも、実際に国民全体が流ちょうに話すかは国によって異なっています。
海外大学への進学や語学留学を検討する方は、「その国で英語がどの程度通じるのか」「都市部と地方で差があるのか」をよくリサーチすると良いでしょう。国によっては都市部では問題なく英語を使えるものの、地方では現地の民族言語が優勢というケースも珍しくありません。
アメリカ式英語とイギリス式英語の違い
英語圏へ留学を考える上で、アメリカ式(American English)とイギリス式(British English)の違いはおさえておきたいポイントです。日本の受験英語は歴史的にイギリス式をベースにしてきましたが、近年は映画や音楽、インターネットを通じてアメリカ式が大きな影響力を持ちつつあります。
◆スペルの違い
▪ アメリカ式:color, flavor, organize など ▪ イギリス式:colour, flavour, organise など |
学校の英語の授業や資格試験(IELTS・TOEFLなど)では、どちらのスペルも誤りとされることはほとんどありません。ただし、エッセイやレポートを書く際は、表記を統一することが望ましいでしょう。
◆語彙・表現の違い
▪ アメリカ式:apartment, elevator, friesなど ▪ イギリス式:flat, lift, chipsなど |
日常会話では上記のように異なる単語が使われることがあるため、留学先の国がどちらの表現をメインに使うのかを先に把握しておくと安心です。
◆発音やアクセントの違い
一般に、アメリカ英語は/r/を強く発音する傾向があり、イギリス英語は非音節末の/r/を弱めに発音するなどの特徴があります。リスニング対策では、複数のアクセントを聞き取れる練習をするのが効果的でしょう。
受験対策においては、両スタイルの表記ゆれや語彙の差を理解しておけば、長文読解や英作文で戸惑いにくくなります。さらに海外大学進学を目指すなら、自分が進学予定の国で主流の英語を意識して学習を進めると、現地適応がスムーズになるでしょう。
公用語で英語を採用している国・地域
英語は世界各地で公用語・準公用語として採用されています。ここでは留学先としても比較的選ばれやすい主要地域をご紹介します。
北米
◆アメリカ
<留学の魅力>
▪ 世界トップクラスの大学が多く、専門性の高い分野(MBA、コンピューターサイエンスなど)では最先端の教育・研究環境が整っている。
▪ 多種多様な文化背景をもつ学生が集まり、グローバルな人脈づくりが可能。
<受験のポイント>
▪ アメリカの大学はSATやACTのスコアを重視するが、TOEFLスコアも必須の場合が多い。
▪ 日本での大学受験とは異なり、エッセイや課外活動の実績も合否に大きく影響するので、自分の個性をアピールできる。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ 学費や生活費は高めだが、大学や財団の奨学金プログラムが充実している。
▪ 交換留学制度を通じて短期滞在も可能。
▪ 留学生向けのESL(English as a Second Language)コースがある大学も多い。
◆カナダ
<留学の魅力>
▪ 英語とフランス語が公用語のバイリンガル環境。トロントやバンクーバーなど英語メインの都市部も多く、留学生を積極的に受け入れている大学が多い。
▪ 治安や生活水準が比較的良好で、住みやすい国として知られる。
<受験のポイント>
▪ IELTSやTOEFLスコア提出を求める大学が中心。専攻によってはフランス語スキルも有利に働くケースも。
▪ アメリカより学費が少し安めの大学もある。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ 卒業後、一定期間は就労ビザを取得しやすい制度(PGWP)があるため、現地就職を考えている学生にもおすすめ。
▪ 多文化社会であり、日本の食材も手に入りやすい。
ヨーロッパ
◆イギリス
<留学の魅力>
▪ 世界的名門校(オックスフォード、ケンブリッジなど)が多数存在し、高度なアカデミック環境を求める学生向け。
▪ 歴史・芸術・文化が豊かで、観光や学生生活を通じて多面的な経験ができる。
<受験のポイント>
▪ IELTSスコアが必須となるケースが大半。大学により要求スコアが異なるので確認が必要。
▪ 学部によってはA-levelやIBなど、イギリス式の教育課程と同等の資格を求められることもある。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ 学費はやや高めだが、大学院レベルになると奨学金や助成金が受けられる場合もあり。
▪ EU離脱(Brexit)の影響でビザ制度が変わったため、最新情報をチェックすると良い。
◆アイルランド
<留学の魅力>
▪ IT・医療・金融など、実学に強い大学が多い。Dublin(ダブリン)周辺にはグローバル企業の拠点が多く、インターンシップの機会が多い。
▪ 自然豊かで治安が良く、英語環境を確保しやすい。
<受験のポイント>
▪ IELTSをはじめ、英語力証明が必須。渡航前に一定以上のスコアを取得しておかないと入学が難しい。
▪ 専攻分野によっては書類選考だけでなくオンライン面接(口頭試問)が行われる場合もある。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ EU圏移動が比較的容易なので、留学中に他のヨーロッパ諸国を訪れやすい。
▪ 日本食レストランやアジアンマーケットも増えつつあり、食事面での不安が軽減されている。
◆マルタ
<留学の魅力>
▪ 地中海のリゾート地で、英語を公用語として日常で使用。短期語学留学にも適している。
▪ ヨーロッパの他都市へ格安航空券で移動でき、観光と学習を両立しやすい。
<受験のポイント>
▪ 大学進学というよりは、語学学校や短期留学が主流。イギリス式の英語がベース。
▪ 大学に進む場合は、IELTSやTOEFLスコアを必要とするところが多い。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ 物価は西欧主要都市に比べてやや安め。海に囲まれた環境で、マリンアクティビティも豊富。
▪ 日本人留学生コミュニティは小規模だが、その分英語漬けの生活を送りやすい。
アジア
◆シンガポール
<留学の魅力>
▪ 英語を含む4言語(英語・マレー語・中国語・タミル語)が公用語で、実務や教育の場面では英語が主流。
▪ 国際色豊かな大学があり、アジアのビジネスハブとして世界的企業が集まる。
<受験のポイント>
▪ 大学によってはTOEFL・IELTSスコアの提出を求められる。
▪ 英語の長文問題にアジア関連のトピックが出ることもあり、グローバルな視点が身につく。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ 生活費は高めだが治安が良い。
▪ 多民族国家ゆえの食文化が豊富で、日本料理店も多数。
◆フィリピン
<留学の魅力>
▪ 英語とタガログ語(フィリピノ語)が公用語。語学学校でのマンツーマン留学コースが比較的安価に受けられるケースも。
▪ 語学学校も多く、短期間で集中して英語力を上げたい方向け。
<受験のポイント>
▪ 日本の大学受験とは直接関係はないが、長期休暇を利用した短期留学で英語力を鍛える高校生・大学生が増えている。
▪ 海外大学編入を目指す際、フィリピンで取得した英語スコアを活用できる場合も。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ 物価が安く、食事や寮費も比較的低コスト。
▪ 治安は場所による差が大きいので、渡航前に現地情報をよく確認する必要あり。
アフリカ
◆ケニア
<留学の魅力>
▪ スワヒリ語と英語が公用語。自然科学や観光学を学ぶのに適しており、サファリ観光や環境保護に興味のある学生向けプログラムがある。
<受験のポイント>
▪ アフリカの歴史・文化に関する英語長文が日本の大学でも出題されることがあり、ケニアでの留学体験が活かせる場合も。
<海外留学生への耳寄り情報>
▪ 大都市ナイロビには国際機関が多く、インターンの機会も期待できる。
▪ 治安管理や予防接種の準備が必須。
留学・受験対策の観点から見る「英語圏」
上記のように「英語が公用語・準公用語」の国は多岐にわたり、それぞれの地域に留学のおすすめポイントや受験面でのメリットがあります。英語を実践的に学ぶうえでも、どの国が自分に合っているかを見極めることが大切です。
<試験形式・受験科目の違い>
▪ アメリカの大学:SATやACT、TOEFLスコアなど総合評価。
▪ イギリス・オーストラリア:IELTSスコア重視、A-level同等資格の評価など。
▪ アジア圏:独自の英語入試+面接を課すケースも。
<留学費用・ビザ制度>
▪ 一般的に欧米は学費・生活費が高めだが、奨学金やアルバイトの制度が整備されている。
▪ アジア圏や一部の欧州諸国はコストを抑えやすい。
▪ 国によってビザ要件や滞在期間が違うため、申請手続きは早めがベター。
<文化・生活習慣の相性>
▪ 留学が長期になるほど、食文化や気候が合うかどうかは大きな問題に。
▪ 多民族社会だと日本人コミュニティも存在しやすく、情報交換や助け合いがしやすい。
◆英語圏への留学・受験を考える人のために
<英語力証明試験の選択>
▪ アメリカ圏:TOEFLが必要な大学が多い。
▪ イギリスやオーストラリア、ヨーロッパ:IELTSを求める大学が多い。
いずれにしても英語の総合的な4技能(読む・書く・聞く・話す)の対策が必須です。
<生活コストや文化>
▪ アメリカやイギリスは学費や生活費が高めだが、大学の世界ランキングや就職市場での評価が高い。
▪ アイルランドやマルタ、東南アジア地域は比較的コストが抑えられ、かつ英語環境を確保しやすい。
<奨学金やビザの要件>
▪ 国ごとにビザの取得難易度やアルバイトの可否が異なる。
▪ 奨学金制度を整えている大学や政府機関も多いが、締切が早いことがあるため、早めに情報収集が必要。
充実した留学生活を送ろう
英語圏と言っても、英語圏の文化や言語の特徴、社会状況は一様ではありません。自分が目指したい専攻分野やキャリアビジョンに合わせて、留学先・受験先の国を選ぶことが大切です。ぜひ本記事を参考に、あなたにピッタリの留学プランや受験戦略を立ててみてください。新しい環境で英語を学ぶことは、人生に大きな転機をもたらす可能性を秘めています。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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