HOMEお役立ち記事日本の学校の酸いも甘いも知った3週間の体験入学!2023年夏に体験入学を経験したお子さまをもつSAWAさんに詳しくインタビュー

日本の学校の酸いも甘いも知った3週間の体験入学!2023年夏に体験入学を経験したお子さまをもつSAWAさんに詳しくインタビュー

海外に在住するお子さまが一時帰国などの際に日本の学校を体験することができる「体験入学」。

体験したくても、なかなか実際の体験内容や様子がイメージしにくく、挑戦できずにいるという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。実は帰国生のミカタスタッフもその一員。いつかは体験入学を経験して体験記を皆さんにご紹介したいとは思ってきたものの、なかなか機会が合わず。

「体験入学」を調べると楽しい、ポジティブな局面をご紹介している人は多く見てきたけれど、どこかで本当に楽しいことばかりなの?と感じていたスタッフが、今年の夏に運命的に見つけたのが、SAWAさんによるインスタグラムのご投稿。

赤裸々に子どもたちの会話や感想が綴られた投稿には、お子さまたちが幼いながらにも見て、感じている世界、そして時に壁にぶつかる様子が見受けられました。ぜひ、もっとお話を聞きたいとアプローチしたところ、「自分たちと同じような境遇にいる方々に少しでもお役に立てたら」と快く引き受けてくださったSAWAさん。

ということで、今回は海外に在住する保護者様必見!2023年の夏にお子さまが日本の小学校へ体験入学をしたSAWAさん一家の体験談をご紹介。「酸いも甘いも両方経験した」という実体験やお子さまの感想、親としてのサポートの方法などたくさんのことをお伺いいたしました!ぜひご参考ください。

今回お話を伺ったSAWAさんのご紹介

今回、日本の小学校に体験入学を行ったSAWAさんご一家は、日本人のお母様、台湾人のお父様、10歳(日本の小学4年生)のお兄ちゃんと7歳(日本の小学2年生)の弟くんの4人家族です。これまで2〜3年おきに海外転勤を繰り返してきた、インターナショナルなご家庭です。

海外在住歴、バックグラウンドについて教えてください

24歳の時に上海へ渡りそこで出会った夫と結婚、そして長男を出産。その後東京で2年間駐在生活を送ることになり、その間に次男を出産しました。その後シンガポールに3年弱、2020年末からはベトナムに転勤となり今に至ります。シンガポール渡航時は長男が5歳、次男が2歳でした。息子たちは日本人のいないローカル幼稚園で過ごし、そして長男は小学生からインター校であるミドルトン インターナショナル スクールへ通っていました。ベトナムでは二人ともインターナショナルスクールに通っています。

家庭内では何語で会話されているのでしょうか?

夫が日本語を話せることから、子どもたちが生まれた後も家庭内は日本語が100%の生活でした。その後、シンガポールに引越しをしてから夫と子どもたちの会話を英語に切り替え、今では100%英語で話しています。私と夫、私と子どもたちは日本語です。

子どもたちは、シンガポールで過ごした2年10ヶ月の間に驚くほどのスピードで英語、中国語を吸収していました。日本人のいなかったローカル幼稚園で過ごした日々の中で、英語力ゼロだったところから始まり、先生や友達と会話をしながらどんどん語学力を身につけていった経験は親子にとって忘れられないものとなりました。

現在通っている学校では何語を話すのでしょうか?

インターナショナルスクールなので100%英語で話しています。日本人はクラスに1人いるか、いないかという環境です。

ご主人が台湾人とのことで中国語の学習もしていらっしゃいますか?

はい、中国語の学習も重要だと思っています。海外でインターナショナルスクールに通われているお子さまは週末に日本語の補習校などに通われていますが、我が家の子どもたちは毎週土曜日に台湾人学校の補習校に通い、朝から3時間、中国語の補習授業を受けています。

日本語の学習はどのようにされていますか?

私と進研ゼミの通信教育をしています。長男は、小学校1,2年生の間は自分で進めていけていたのですが、だんだん文章問題や漢字が多くなってくるとひとりでこなすことが難しくなってきました。

次男については日本語の能力がまだまだなので、つきっきりでやる必要があります。こちらも根気強く、気合いを入れて向き合う必要があり、日本語の学習については課題がたくさんあります。諦めてしまえば楽ですが、まだ諦めきれない部分があります。

体験入学で期待したこと、手続きは?

今回、体験入学をなさったきっかけや理由を教えてください。

毎年夏に日本に一時帰国する時に、私の実家近くに住むお友達がいたら実家滞在時に近所で一緒に遊べたりして、子どもたちもハッピーかなという理由が一番大きいです。

体験入学をするにしても低学年のほうが馴染みやすいと聞いていたので、前々からずっと子どもたちに日本の小学校の体験入学をさせてあげたいなと考えていました。しかしコロナ禍で夏に帰国することができず、気づいたら長男は小4になっていたので迷いはありました。

けれども日本の同年代の子たちと交流することでその子たちの生活を垣間見たり、給食制度など素晴らしい日本の学校独自のものを経験して何かを感じ取ってほしかったので、体験入学させました。限られた短い時間でしたので、日本語強化という勉強面よりも日本の学校と海外の学校の違いを知ってほしい気持ちのほうが大きかったです。

体験入学の手続きはどのように行いましたか?

今回子どもたちは私も通っていた公立小学校に体験入学をしました。

最初は私の母から小学校に電話をしてもらい、受け入れをお願いしました。海外からの体験入学の受け入れを行ったことのある学校のようで、すぐに理解していただけました。

お友達のお話などを聞いていると、「全ての持ち物に名前を記載する」など、持ち物などのリストを事細かにもらった方もいたので身構えていました。けれども、自治体や学校にもよるのか、私の母校は「体験入学ですし、全然構えなくていいですよ」というスタンスで書類の手続きなども一切なく、用意する持ち物も数個のみでした。

どのくらいの期間体験入学をしたのでしょうか?

私たちが日本に一時帰国をしてから、日本の小学校が夏休みに入るまで5週間ほどあったので、こちらとしては5週間行かせようと思っていました。けれども、学校側から保護者面談などの繁忙期を除いた3週間くらいを提示されたのでその通りにしました。こちらとしてもしっかり先生方にサポートしてもらえる方が良いのでそのように期間を相談して決められたのはよかったです。

事前にお子さまにはどのように体験入学することをお伝えされたのでしょうか?

「日本の学校をちょっと体験してみない?」と伝えました。子どもたちとしては、自分たちは夏休みなのになんで学校に?という気持ちがあったと思います。

勉強目的で行かせるわけではないので、「普段の学校生活では日本語をほとんど使っていないと先生には伝えてあるし、日本の学校ってどんな感じかな?先生やお友達、クラスの様子とかを見てくるだけでいいよ!」と「嫌だったら行かなくていいよ」という、軽い感じで伝えました。それでも最初は嫌がっていましたが、、、。


体験入学初日の様子

初日はどんな様子で学校に行かれましたか?

次男は割とケロっとしていましたが、上の子はとても緊張していました。担任の先生に引き渡すまで私も心配で「大丈夫かな」と思うほどでした。

初日学校からどんな様子で帰ってこられましたか?

長男のことは私が心配になってこっそり見ていたのですが、集団下校でお友達に囲まれながら、わいわいと楽しそうに帰宅して来たので安心しました。ベトナムのインターナショナルスクールでは登下校はスクールバスか保護者の送り迎えが普通なので、小学校1年生から自分たちで徒歩で登下校することに長男はとても憧れていました。それが実現できたことも嬉しかったようです。

次男は「英語をしゃべってみて」とたくさんの人にお願いをされ、実際に英語を話してみると、みんなに「すごい」と言われたと得意そうに話してくれました。もともとベラベラとしゃべる性格の子なので、そうしたやりとりをとても楽しんでいるようでした。

初日後、お子さまたちはどんなお話をしてくれたのでしょうか?

初日は大興奮でお友達とのやりとりしか聞けていなかったのですが、何日か経ってから振り返って細かいことを教えてくれるようになりました。

二人とも朝の会でみんなで歌を歌うこと、お昼の放送や歯磨きの歌の放送、校歌も新鮮だったようで、家で楽しそうに歌っていました。あとは教室の掃除、給食の配膳を自分たちですることにも驚いていました。海外だと食堂があったり、掃除もクリーナーの方々がいて自分たちですることがないので。


3週間のお子さまの学校生活・学習について

日本のお友達との関わりでお子さまに見られた変化はありますか?

最初の週などにはお友達が下校後に遊びに行こうと立て続けに誘ってくれました。お友達同士の会話には恐らくついていけなかったり、意味がわからない会話もあったと思います。

それでも同年代の男子たちが使う、初めて聞くような言葉やフレーズをどんどん吸収してパワーアップさせていくのを見るとすごいな!と思いました。「あ、これ今使ったらクールだな、かっこいいな」と子どもなりに感じとり、真似をしながら「えぐい」などの日本語を見よう見真似で使っていたのが印象的です。

普段日本語は私としか話す機会がないため、なかなかボキャブラリーが増えにくい中、友達との会話で耳にする即戦力のある日本語の言葉が新鮮だったのだと思います。

3週間の間、最後までずっと楽しく通えたのでしょうか?

最初は新鮮さもあり、先生方も自己紹介やゲームなど馴染みやすい配慮をしてくださったので楽しかったようです。

ただ、長男は小4で日本語の学習も進研ゼミでほぼ国語と算数しかしていなかったので理科と社会では基本的な日本の知識がないと分からないことが多くあり、真面目な性格なために「どうしてみんなが分かることが僕には分からないんだろう」とふさぎこんでしまうことがありました。

社会では地元千葉県の房総半島の漁獲量の勉強をしているようでしたが、房総半島も知らなければ漁業もきっと分からない。毎日が絶好調に楽しく通えていたというわけではなく、「え?今日もまた行かないといけないのか、、」みたいな日もありました。

同じように体験入学の経験があるお友達の話だとわからないことがあっても楽しめる性格の子もいるようですが、長男にはわからないことが苦しかったようです。

一方で休み時間はお友達とたくさん遊んですごく楽しかったようなので、「学校は楽しい、でも分からない授業は辛い。学校に行きたいけど、行きたくない」という感情の狭間で揺れ続けていたように思います。

そのような時(お子さまが学習などで困った時)にはどのようにお声がけされたのでしょうか?

日本の学校の高学年の学習は科目も細かく分かれてくるし、内容も深みがでてきます。一方、長男は「書写、道徳ってなんなの?」という質問が出るくらい、そもそも何を勉強する科目なのかすら分からない状態でした。少しでも不安を和らげるように前日に時間割を親子で見て、「明日はこういうことを勉強するんだよ」と説明をしていました。

本人が分からないという状態はお友達も先生も知ってくれているから心配は要らないんだよとも声がけしました。

学校の先生からはどのようなサポートがあったのでしょうか?

学校の先生はとても手厚く、連絡帳や電話で子どもの様子を知らせてくれていたので助かりました。「とても頑張ってますよ」、「今日は元気がなかったです」などの先生からの報告と、帰宅してからの家での様子を共有することができました。

長男が体調不良で1週間学校に行けなかった時にはとても心配してくださり、お友達がプリントを持ってきてくれたり、「早くよくなりますように」といったお手紙をくれたりとしっかりとバックアップをしてくださりました。それが子どもの安心感にもつながったと思います。

学校の先生に関して、お子さまは何かお話しされていましたか?

長男はサッカーがとても好きなのですが、たまたま隣のクラスの先生もサッカーが好きで、長男とよくサッカーの話をしに来てくれたのが印象的だったようです。担任の先生でなくても名前を覚えてくれて、話しかけてくれる先生が多いのが嬉しかったようです。

海外の学校でも同じように先生方はよく話しかけてくれるので、先生方と気軽にコミュニケーションがとれることは、子どもにとって大切なことなのかもしれません。

インスタグラムのご投稿で拝見したのですが、最後の日にクラスメイトからお手紙をもらったのですか?

体験入学をした3週間の間に先生が写真を撮ってくださっていて、写真ごとにコメントをつけたアルバムのようなものを最後に渡してくださいました。それを子どもたちと見返すとたった3週間の間にこんなに色々なことをさせてもらったんだと感謝の気持ちでいっぱいになりました。

クラスのみんなからのお手紙も、長く一緒に過ごした友達が転校する時のような内容をみんな書いていてくれて、自分を受け入れてくれていたんだなと子どもたちも実感できたようで嬉しそうでした。


3週間体験してみて

日本と海外の学校の違いを感じた部分はありましたか?

長男は、思った以上に学校では漢字が使われていて教科書を読めないことが多かったと思います。

次男は、初めての掃除の時間に一生懸命雑巾がけをした後に、先生がクラスのみんなに「今日がんばって掃除できた人!」と声をかけたので張り切って手を挙げたようなんです。そうするとクラスの他の子に「いや、なんかやり方間違ってたよ」と指摘されたことについてとても怒っていました。

今までそんな風に他人から批評されたこともないし、自分が一生懸命したと思うのであればそれでいいじゃないか。なんでそんな風に言われないといけないのか。という気持ちが強く、そういうところは「日本の学校は嫌だな」と言っていました。

ただ楽しいだけの学校生活ではなく、「え?なんで?」と感じる嫌なことも、嬉しいことも両方肌で感じ取っているんだなと思いました。体験入学でしか得られない、日本の学校のプラスの面も(子どもにとっては)マイナスと感じてしまう面も両方感じられていい経験だったと思います。

体験入学だからこそできた貴重な体験はありましたか?

体験入学をしたうちの子たちだけが日本の小学校について学ぶのではなく、ベトナムで通っている学校の様子についてもクラスメイトに発表する機会を先生が与えてくれたことがとても良かったです。

長男はパソコンで資料を作って、ベトナムでの学校生活全般からベトナムのインターナショナル校の給食は日本ほど美味しくないことなどを発表していました。クラスメイトからもいろいろな新鮮な反応をもらってお互いがお互いの違いを知る場があったことが、長男に自信をつけさせてくれたと感じました。

体験入学で違いを受け取るだけではなく、違いがあることを伝える、教えてあげることも必要なんだと学んだのではないかと思います。

日本の学校に通ったことのないご主人はどのような反応でしたか?

体験入学をする前は「日本の学校についていけるかな?大丈夫?」といった学力、語学面での不安と次男に対しては「先生を困らせないかな?授業の邪魔をしないかな?」ととても心配していました。

けれども3週間を終えた時には、たくさんのお友達が仲良くしてくれ、学校もしっかりサポートしてくれていたことなどを知り、子どもたちが最後までやり遂げることができたことに驚いていました。


体験入学を考えていらっしゃる保護者の方へ

日本の学校の良いなと思った点、またはここはベトナムのインター校の方がいいと思った点はありましたか?

良いなと思ったところはやはり小学校1年生から自分で登下校をするところです。自立心、独立心が生まれるなと思いました。あとは、給食の配膳、用意、掃除を自分たちでするというところは他の国でも珍しく、日本の素晴らしいところだと思います。

逆に海外の学校のほうが便利だと感じるのが学校との連絡の取り方でしょうか。今回体験入学をした日本の学校はお知らせやプールカード(出席カード)など全てが紙ベースで、3週間で莫大な量のプリントがたまり処理に困ったことも、、、。先生からの連絡も電話でしたのでいつでもオンタイムで対応できるわけではなく、留守電に入って、、みたいなこともありました。

海外だとプリント類も宿題の提出、先生とのやりとりもアプリでするところがほとんどだと思うので「日本の学校はそうか、こうだったのか」という、アナログ感を感じました。先生方の手間もアプリで省けることが出来るとは思いますが、紙ベースはもうずっと長い間やってきたことだし、根付いたものを変えることはそれはそれで大変なんだろうなとしみじみ感じました。

体験入学してみてよかったと感じていらっしゃいますか?

私はとてもよかったと思っています。ただ、目的を日本語能力を上げる、勉強面で学んできてほしいと狙いを定めると親子共々苦しくなることもあるかと思います。

もちろん、やる気のあるお子さまなら問題ないと思います。けれどもきっと大半の子はそうではないし、夏休みなのに何故学校へ…..と感じる子も多いはずなので、構えず気軽に「無理だったら行かなくていいよ」くらいの気持ちで親がいたほうがお子さまも楽しんでくれるのではないかと今回、すごく感じました。

息子たちはひたすら楽しく毎日が過ぎていったということはなく、日本の学校の「酸いも甘いも知る」体験でしたが、その両方を体験できたことは今後の糧になる良い経験になってくれると思いたいです。

子どもたちは夏休みは休みたいと言っているので、「来年は行かなくていいよ」と言っていますが、クラスメイトのお友達も先生方も寂しがってくださっているので来年も機会があれば、、、と私は思っていますが、決めるのは子どもたちですので来年はどうするか分かりません。

体験入学中にしてよかったサポート方法や気をつけるといいのではと思う点がありましたら、教えてください。

親は色々気になってしまって「これはどうだった?あれはどうだった?よく頑張ったね」と聞きたくなったり褒めたくなりますが、子どものほうが話が止まらなくなるケースがあるのでそれを待つ。勉強面では子どもたちが持ち帰ってきたものを見て色々と把握した後に、さりげなく「今日こんなこと勉強してきたんだね」と話しかけてみたりするというサポートの方法が息子たちには合っていたと思います。

宿題に関しては一人ではできない内容も多いので一緒にやりました。「体験入学に送り出して終わり」ではなく、親も一緒に参加型でするのが子どもも安心感があって頑張ろうという気持ちになれると思います。


「酸いも甘いも」すべてが良い経験だった体験入学

SAWAさん自身がお友達などから聞いていたような「とにかく毎日楽しい」という訳ではなく、時には通学している海外の学校と日本の学校の違いに、とまどったり気持ちが落ち込むこともあった体験入学。けれどもSAWAさんの前向きで決して強制しないスタンスのサポートや、お子さまたちのチャレンジ精神や頑張り、そして日本の学校の方々の温かい受け入れ体制で本当に良い経験のできた体験入学だったようです。SAWAさん、貴重な体験談をお話いただき、ありがとうございました!

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

 

【関連記事】
帰国子女の中学受験には面接対策が必須!質問例から面接マナーまで詳細にお届け

帰国子女の中学受験と偏差値!模試など中学受験お役立ち情報

帰国子女の就職活動は?帰国子女の就職対策方法などお役立ち情報をご紹介!


最新情報をLINEとメルマガでお届けしています!ぜひお友だち追加・フォローしてください。

お役立ち記事の一覧へ