【イギリス】日本人学校orインター校or現地校~学校選びのポイントやメリット・デメリットを徹底解説~
イギリスへの赴任が決まり、お子さまの学校選びに悩んでいませんか?現地校、インターナショナルスクール、日本人学校。それぞれに魅力がある一方で、選択に迷いますよね。今回は、各学校の特徴や違い、選び方のポイントを詳しく解説します。
イギリスの教育制度について
イギリスの教育制度は日本とは大きく異なります。義務教育は日本と比べて2年間長く、5才から16才までの11年間です。16才以降は就職、もしくは高等教育(Sixth From)への進学を目指すこととなります。義務教育修了時にGCSE(General Certificate of Secondary Education)という、将来の進路や就職を左右する重要な資格となる国家試験を受験することで義務教育を修了することが特徴的です。
イギリス現地校の特徴とメリット・デメリット
イギリスの現地校とは、イギリスの一般的な公立学校、私立学校のことを指します。公立の学校は「学区制」をとっており、希望の学校が定員に達している場合は空きを待つか、もしくは私立学校を選択します。
私立学校の生徒はイギリスで学校に通う全生徒のうちの6.3%(参考:BritishCouncil)と少数派ですが、質の高い教育環境や設備、きめ細やかなサポートで、特に私立のボーディングスクールは日本からも留学先として注目されています。ここでは、主に公立学校のメリット・デメリットに絞ってお伝えします。なお、イギリスの公立学校を調べる際には 国の教育水準局(Ofsted)の監査結果を見ることをおすすめします。
<メリット> |
▪英語力の向上:
イギリスの学校の言語は公用語である英語が利用されており、自然な英語が身につきます。また、日常会話にとどまらず、高学年になると学業に必要なアカデミックな英語も身につきます。
▪イギリスのローカル感を肌で感じることができる:
イギリスの現地校にはイギリスで生まれ育った子どもたちはもちろん、他国から移民してきた家庭の子どもたちも多くいます。そのため、あらゆる人種・国籍・宗教に理解を深める教育がされており、それこそが実際のイギリスを良く知る環境にあるといえるでしょう。また、現地で暮らしている人々とのつながりができることで、よりイギリスのローカルなコミュニティを知ることができます。
▪公立校の場合、学費が無料:
イギリスの公立学校の運営は政府もしくは地方の教育委員会の資金で成り立っているため、生徒たちは無料で通うことができます。
<デメリット> |
▪初期の言語の壁が高い:
日本の学校で過ごしてきた子どもにとっては突然すべてが英語の環境になることが、ハードルが高く感じられるかもしれません。また、親も英語が得意ではない場合、学校とのコミュニケーションがストレスになることも考えられます。ただし、こちらは比較的日本人の多く通う現地校を選ぶ、ESL(English as a Second Language)の英語サポートのある学校を選ぶなどしてハードルを下げることが可能です。
▪居住区域によって学力差がある:
公立の学校の場合、居住区域によって通学する学校が決められているので、所得差などに応じては同じ公立学校といえども、学力差が生じることもあります。
▪日本の勉強と両立するのが難しい:
いずれは日本に帰国するご予定のご家族の場合、日本の学習もおろそかにすることができません。そのため、現地校の勉強と同時に日本のカリキュラムの勉強も進めることとなります。低学年のうちは現地校の宿題なども少なく両立は簡単かもしれませんが、高学年からの現地校スタートとなると双方の勉強をすることで、時間に追われる生活になる可能性があります。
インターナショナルスクールの特徴とメリット・デメリット
インターナショナルスクールは、世界各国からの生徒が集まる多国籍な環境が特徴です。移民を多く受け入れているイギリスでは現地校でも多国籍な環境となりますが、現地校との相違点は転勤族が多いということです。また、カリキュラムは国際的な基準に基づいていることも多いです。
厳密にいうと、インターナショナルスクールではありませんが、アメリカンスクール、フレンチ、カナディアンスクールなど、いつかアメリカや母国に戻る予定の子どもたちのために設立されたナショナルスクールでは、それぞれの国のカリキュラムに沿った教育が提供されています。イギリスに住みながらもいつかアメリカの大学に進学したい、日本に帰国してもアメリカンスクールに通いたいという方はこちらも選択肢に入るでしょう。
<メリット> |
▪英語力や多言語教育:
イギリスの現地校と同様に、インターナショナルスクールでは日常生活や授業で英語を使用するため、自然な英語やアカデミックな英語を身につけることができます。また、インターナショナルスクールではグローバルな人材を育てる観点からも英語だけでなく、中国語やヨーロッパで使用されている言語など、多言語教育に力をいれている学校もあります。
▪国際カリキュラムを採用:
もともと、インターナショナルスクールは親の転勤などで、母国や一つの国で継続した教育を受けることが難しい子どもたちのために設立された学校です。そのため、ほとんどのインターナショナルスクールでは、どこの国に行っても同じ教育を受けることができるよう、国際バカロレア(IB)、ケンブリッジ国際カリキュラムなどの国際カリキュラムを採用しています。
▪国際的な環境での教育:
インターナショナルスクールは、その成り立ちから必然的に国際的な環境となります。それだけに、学習を通じてグローバルな問題を取り上げることも多く、世界規模の視点で論理的な思考を養うことができます。また、さまざまの意見をどのように解決していくか、自身の文化的価値観を養いつつ、他国の文化理解も深めることができます。
<デメリット> |
現地校と同じく、言語の壁や日本の勉強との両立の厳しさが挙げられます。その他、下記のようなデメリットが考えられるでしょう。
▪高額な学費:
インターナショナルスクールは、国などからの補助がなく独立した教育機関のため、学費が高額となります。
▪現地文化との接点が現地校より少ない:
転勤族という限られたコミュニティーで過ごすため、現地校よりも現地の人々と触れ合う機会が少なくなります。しかし、この点については地域のスポーツチームに参加したり、ボランティア活動をしたりすることでローカルコミュニティに溶け込むことも可能です。一概にデメリットとはいえないでしょう。
日本人学校の特徴とメリット・デメリット
日本人学校は、日本の文部科学省の認可を受けた在外教育施設です。日本と同等の教育を受けられるのが最大の特徴です。また、現地の文化や歴史、地理など異文化理解も深めることを積極的に進めています。ロンドン日本人学校の規模は、小学部194名、中学部88名(令和4年)となっています。
<メリット> |
▪環境の変化へのハードルが低い:
日本人学校は、日常生活や授業で日本語を使用します。そのため、日本の生活に慣れて渡英した子どもたちにとっても言語のハードルもなく、馴染みやすいでしょう。また、学校文化も日本のものなので、ストレスを感じることも少なく学校生活を過ごせます。「海外に暮らす日本人コミュニティ」に属することとなるため、同じ境遇の友人と海外生活ならではの悩みや楽しみを共有し、親にとっては困った時にも助け合える日本人の仲間がいるのは心強いです。
▪日本の教育課程に沿った学習:
日本人学校のカリキュラムは日本の教育課程に沿っています。そのため、日本帰国時に日本の学習に遅れをとることがありません。また、受験時に中高一貫公立校や公立高校を目指す場合は日本の理科、社会など現地校やインターナショナルスクールに通っていると勉強の優先順位が低くなる科目が必要となりますが、日本人学校で学んでいるとそのようなことが起きづらいでしょう。
日本人学校は、短期滞在の家族や、帰国後の日本の学校への円滑な復帰を重視する場合に適しています。また、高学年で渡英し、日本の受験を考えている場合にも選択されることが多い傾向です。
<デメリット> |
▪地域が限られる:
イギリスの場合、全日制の日本人学校はロンドンにしかありません。(参考:文部科学省)そのため、ロンドン以外の地域に転勤の場合は現地校、もしくはインターナショナルスクールや補習校に通うことになります。
▪英語力の向上が限定的:
学校での日常生活が日本語となり、現地校やインターナショナルスクールと比較すると格段に英語に触れる時間が短くなります。そのため、英語力の向上は限定的となります。しかし、学校には英語の授業も設けられている他、学校外の生活や課外活動などで現地のコミュニティに触れ合える機会を多く作ることである程度は英語力向上を見込めるでしょう。
▪現地文化との接点が少ない:
インターナショナルスクールを選択した場合のデメリットと同様、現地文化との接点が少なくなることも考えられます。しかし、この点も学校外で現地に触れ合えるコミュニテイに積極的に参加するなどで、解消できるでしょう。
学校選びポイントは?
イギリスで暮らすと一言で言っても、お子さまの年齢、駐在期間、英語力、家庭方針やお子さまの将来の希望の進路によって最適な学校は異なります。しかし、始めから最適な学校が見つかるご家庭は少なく、悩むのは当然のこと。このような時には、下記のようなポイントを軸に、検討をしてみてください。また、一度決めたらそれで終わりではなく、通ってみてお子さまが合わないようであれば、転校などして環境を変える柔軟性も必要となります。
<学校選びのポイント> ▪滞在予定期間 ▪子どもの年齢と性格 ▪現在の英語力 ▪学校での英語サポートの有無 ▪将来の進路希望 ▪家族の価値観や教育方針 ▪経済的な負担 ▪通学の利便性 ▪学校の評判や設備 ▪見学時の感想 |
例えば、滞在予定期間が短く、帰国したらすぐに中学受験の年齢になるという場合は日本人学校が良いかもしれません。一方で、受験はせず、海外での経験に重きを置くご家庭の方針などがあれば、インターナショナルスクールが選択肢となります。また、インターナショナルスクールは学費が高額となりますが、年数やお子さまの人数によっては可能となる場合もあります。このように、さまざまな要件を組み合わせて最終的に学校選びをしていきましょう。
海外生活で相談が必要な時は?
イギリスに住んでいる方と情報共有ができると現地の様子も分かり、お子さまの進路も決めやすくなりますが、なかなか個人的な知り合いを探すのも難しいですよね。そのような場合は、海外子女教育専門の相談機関(海外子女教育振興財団など)や、帰国生経験者のコミュニティ、イギリスの日本人会や在英日本大使館などで必要な情報を確認してみましょう。
日本人学校orインター校or現地校、学校選びを成功させるために
イギリスでの学校選びは日本と教育制度も異なり、選択肢も現地校、インター校、日本人学校とあることから悩まれるご家庭が多いでしょう。それぞれにメリット、デメリットがあり、お子さまの性格やご家庭の方針、それまでの教育環境によって最良の選択は異なります。イギリスの滞在期間がかけがえのない成長の機会となるよう、ご家族で話し合って決めていくことが大切です。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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