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帰国するのに日本語ができない?帰国子女のお悩みを解決する対策法をご紹介

帰国子女が抱える語学力の問題は、海外滞在中の言語環境によって大きく変わってきます。帰国後の日本語力が未習熟であることによる教育学習の遅れや日本の学校への不適応など、子どもたちにかかる負担が社会問題にもなっています。そこで今回は、海外滞在中にできる対応策や日本語力の保持と向上のコツをご紹介します。日常生活の中で工夫することが重要になるので、ぜひ参考にしてみてください。

海外の環境で起こる日本語の問題

日本の国際化に伴い、子どもを海外に帯同する人が増えています。文部科学省の調査によると、海外に長期間滞在した後、平成19年度に帰国した子どもの数は約1万1千人でした。

帰国子女の場合、帰国後に日本と海外の間にある大きなカルチャーショックを感じ、日本の学校に馴染めないと感じる生徒が数多くいます。特に「日本語ができない」と悩んでしまう子どもが多く、帰国前後の日本語教育が重要と言えます。

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読み書き

子どもたちが直面する日本語の問題の一つに読み書きがあります。会話に関しては、両親と家庭内で日本語で話しているケースが多いですが、海外で日本語を読み書きする機会は少ないです。特に子どもの場合、漢字が読めないことが多く日本語の授業についていけないケースもあります。また、そういった面に配慮し1年遅れで編入する場合などは、そういった状況が子どものコンプレックスになってしまう可能性もあります。

会話中の文法

1988年に東京学芸大学特殊教育研究施設が行った調査によると、在外年数が長くなるにつれて日本人同士でも英語を使う頻度が増える傾向があり、幼いときから外国に在住した子どもほど日本語語彙理解力の発達が遅いという結果が出ています。特に10歳以前から二言語併用の環境下にいる子どもは、日本語修得のメカニズムが異なるとも言われています。子どものうちは得意な言語が偏る傾向があり、日本語が英語の語順に引っ張られるというケースもあります。

ネイティブが使う日本語

帰国子女が使う日本語は、日常会話がある程度成立するので周囲の日本人には「日本語ができない」と認識されにくいです。しかし海外では敬語などの日本語特有の言い回しが身につきにくく、敬語を上手く使えないことでその人自身の評価まで下がることがあります。さらに国内の小中学校、高校ではネイティブとしての日本語が理解できない、または操れない子どもの受け入れ体制が整っていない学校が多く、入学を拒否される場合もあります。

幼いときから海外に在住した子どもが帰国後の日本語習得の努力を怠った場合、日本語語彙理解力の伸びが緩く日本の学校への適応も遅いという結果も出ているため、海外滞在中から日本語力の保持と向上を意識することが重要です。

日本語力4技能を上げるためのコツ

幼児期は言語の吸収が柔らかく、使用頻度の高い言語に大きく左右されます。そのため幼いときから海外に移住した子どもほど、海外滞在中に日本語力4技能を鍛えておくことが重要です。

海外滞在中に聞く力を上げるコツ

日本語を聞き取る際に大切なことは「音」と「意味」を意識することです。使い慣れている言語に翻訳せずに「音」を聞いて、瞬時に「意味」をイメージできるようにします。ネイティブの場合、その場の状況や相手との関係性に応じて表現を無意識に使い分けます。日本語の複雑な使い分けを学ぶ上で重要なのは、聞く際に会話の背景や場面を意識することです。

日本語のドラマや映画、アニメなどの活用は楽しみながら学習できるのでおすすめです。またネイティブの日常会話に近い音声を聞くことができるので、幅広い会話シーンのリスニング力を鍛えることができます。

海外滞在中に読む力を上げるコツ

日本語の読解が苦手な場合は、読む機会が少ないことが原因として考えられます。読む力には慣れが必要なので、読む練習をしましょう。読むものは漫画でも絵本でもいいので、まずは「日本語を楽しく読む」ことに慣れましょう。本を読むことは、日本語力を落とさないだけでなく論理的な思考力を高めます。できるだけ家に日本語の本を用意し、読む習慣をつけることが重要です。

読む力をつけるのにおすすめなのが「にほんごたどく」です。日本語のレベル別にさまざまな読み物をオンラインで読むことができるので、自分のレベルに合わせて読む習慣をつけてみましょう。また、小学生などでは、読解力をつけるためのドリルなどを活用し文章読解力を身につけることもおすすめです。そうすることで、ものごとを理解する力が向上し、さらに関心を持つことができます。

海外滞在中に書く力を上げるコツ

漢字を書く力を鍛えるのにおすすめなのが「スマイルゼミ」です。漢字の練習や漢検ドリルなどが、タブレット一つでできます。また日本語で日記をつけるなど、短い文章をたくさん書く練習も効果的です。毎日書くことで、「書く」ことに慣れていきます。

子どもは「書く」ことを通して、自分の生活経験を問い直しているという研究結果もあります。例えば日記を書こうとするとき、テーマを探すために日常を見つめ直しているのです。書く力を鍛えることで、自分の感情を言語化できるようになるのです。

海外滞在中に会話力を上げるコツ

会話力を上げるには、「家庭内では日本語で話す」というルールを作るのがおすすめです。親御さんの前では日本語を使っていても兄弟間で英語を使ってしまうケースもあるので、家の中では日本語のみを使うように徹底することが重要です。

そしてお子さんが間違った日本語の使い方をしている場合は、親御さんがその都度、正しい使い方を教えてあげましょう。特に幼児期には、日本独特の数の数え方などを意識的に日常会話に取り入れることもおすすめです。

日本帰国後に日本語力を上げるコツ

日常生活に困らない漢字力の向上や国内の受験対策など、日本の学校についていけるか不安な方のための日本語学校もあります。家庭内での学習だけではカバーできない日本語能力獲得におすすめです。

日本帰国後でも日本語力を上げることは可能です。海外滞在中とは異なり日常生活に日本語が溢れているので、自然に日本語力はついていきますが努力も必要です。海外滞在中にどの程度日本語力をつけたかにもよりますが、お子さんの語学力や性格なども考えながら無理をせず学習していきましょう。

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国語(日本語)科目のない帰国子女の受験

文部科学省の国際教育課では、海外子女・帰国児童のための教育相談や情報提供を行うと同時に、国内の日本人学校や補習授業校間のスムーズな情報交換の場「CLARINET」をホームページ上に開設しています。帰国児童や日本語指導が必要な児童の受け入れを推進するための調査も行っており、帰国生を受け入れる学校も増えてきています。

しかし帰国子女受験を考えている場合、国内でも帰国子女枠の過去問は販売していない場合が多く、受験直前まで海外滞在中という方にはさらに困難になります。そこで少しでもお子さんの負担を軽くするために、受験に国語科目がない学校がおすすめです。受験に国語科目がない学校の特徴は、積極的に帰国生を受け入れ、ネイティブ講師による英語の授業に力を入れているところが多いです。またレベルの高い英語教育を提供しながら、国内の一流大学に合格できる教育水準を保っている学校もあります。

帰国生のミカタでも、英語のみで受験が可能な学校や学校選びの際の情報を提供していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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早めの対策と楽しく学ぶことが重要

海外で育ったお子さんの中には、日本語や日本の文化に興味がないというケースもあります。語学を学ぶ上で、その文化に興味を持ち好きになることが上達への近道になるとも言われていますので、親御さんが日本の魅力を伝え、楽しく日本語を学べる工夫をしてあげることも大切です。また、海外滞在中に日本語にふれる機会をできるだけ増やすだけで解決できることもあるので、早めに対策しておくことをおすすめします。

お子さんに日本語の勉強を押し付けるのではなく、日本語力の向上のために努力していることを評価してあげましょう。日常生活の中で学べる材料はたくさんあるので、上手く活用して親御さんと一緒に学習していくことで日本語力は上がっていきます。お子さんの力を信じて、慌てず無理をしないことが重要です。

●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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